第5章164話:レオン視点

数日後。


ビールと焼き鳥をあつかう居酒屋、兼ねてより開店を予定していた炭火焼の店についてだが……


アリアが着々と準備を進めてくれたおかげで、夏の半ばごろ。


ついに1号店がオープンした。


店の名前は【炭火とビール亭】。


略称は炭火亭すみびていである。






<レオン視点>


同じころ。


晴れ。


夕方。


王都から少し離れた森で、レオンは魔物3匹と争っていた。


「オオオォォォォーーッ!!」


レオンの戦闘スタイルは徒手空拳。


前方にいたフローウルフに拳が炸裂する。


2体目のフローウルフが後ろから飛びかかってくる。


それをかわして蹴りを叩き込み、頚骨を粉砕する。


最後の一匹。


あっという間に2匹が撃滅されたことに怖気づいたか、フローウルフが後ずさる。


その隙を逃さず、レオンが間合いを一気に詰めてアッパーカットで吹っ飛ばした。


フローウルフが樹木に激突して絶命する。


「はぁ……はぁ……はぁ……はっ……はぁ……ふう……」


アドレナリンが充満する。


呼吸が荒れ、汗が流れる。


その熱気の中で、レオンは倒した魔物に防腐魔法をかけていく。


それから解体。


解体作業は重労働だ。


さらに汗が流れる。


それをぬぐいながら、なんとか一匹目の解体を完了した。


(どうせ全部は持って帰れねえ。必要な部位だけ持って帰って、後は捨てるか)


アイテムバッグがあれば……と思うが、高級品ゆえに手が届かない。


高く売れそうな部位と肉を確保して、あとは捨て置く。


そうしてふいに天を仰ぐ。


木々に囲まれた隙間から、オレンジ色の空が見えている。


「今日は野宿だな」


そうして焚き火を燃やす。


木の枝に肉をさして焼く。


王都で買ってきた野菜も、一緒に焼く。


できあがったらかぶりつく。


食べる。


食べる。


食べる。


「……」


レオンは、ふと思う。


自分はやっぱり、冒険のほうが性に合ってると。


大学の講義は嫌いじゃない。


新しい知識を学ぶのは楽しいと思うし、将来の役に立つことも多いと思う。


だが、自分は戦士だ。


冒険者のように、野生的に生きるほうが、しっくりくるのだ。


「ふう」


食欲は満たせた。


寝るか。


そう思って、マントを地べたに広げ、眠りにつく。


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