第5章160話:兵隊3

このあと。


格闘訓練。


魔法訓練。


行軍訓練。


座学などをおこなう。


それらが終われば昼食。


昼食では【山中訓練所さんちゅうくんれんじょ】にある兵舎にて、たくさんの料理を用意し、たらふく食べてもらう。


鍛えた筋肉と魔力がしっかり血肉とするには、たくさんの栄養とカロリーを必要とする。


だから食事の提供は惜しまない。


で……昼食が終わったら。


少し休憩を挟んでから、午後のトレーニングをはじめる。


それは――――


銃撃訓練である。


「みなさんに、学んでいただきたい武器がございますわ」


と、前置きしてから、私は銃を取り出す。


私が製作したライフル銃―――【魔法銃まほうじゅう】である。


射程距離700メートル。


威力は一般的な鎧を砕く程度。


連射も可能である。


「こちらは、魔法銃と呼ばれる遠距離武器です。わたくしが錬金術によって開発した、新型武器ですわ」


新型武器と聞いて、兵士たちがどよめく。


異世界にはまだ、銃は存在しない。


よって、私の魔法銃は、この世界で初めて開発された銃といえる。


しかも前世でいうところの火縄銃よりも、だいぶ進んだ銃であり、威力も射程距離も高い。


――――ちなみに。


兵士たちには、入隊時に【契約魔法】を結ばせている。


内容は『訓練の内容に関しては、全て、他言してはならない』というものだ。


この契約により、魔法銃の存在を、兵士たちは誰かに話すことができない。


魔法銃という武器の存在が、どこかに露見してしまうことは無い。


よって完全な秘密兵器、ルチル隊の隠し玉として保有することができるわけだ。


「魔法銃が、どのような武器であるかは、実際に見てもらったほうが速いでしょう。あちらをご覧下さい」


兵士たちに指示する。


私が示唆しさした先には、鎧を着た人形が置かれている。


私が事前に用意していた『的』である。


「今からアレを、魔法銃で狙撃します」


言うなり、私は魔法銃を構えた。


狙いを定め――――


発砲する。


ズダ、ダッ、ダッ、ダッ……!!


と、4発、放った。


ズダダダダダッといった、素早い連射ではないが、1秒間に2~3発は撃てるぐらいの速度である。


その4発のうち、1発が鎧に命中し……


鎧が粉々に弾けとんだ。


兵士たちが驚愕する。




「ええ……!?」


「何も見えなかったぞ」


「ゆ、弓矢じゃないわよね?」


「あんな速い攻撃が飛んできたら、誰もかわせないだろ」


「すげえ」




兵士たちは、特に、銃弾の速さに驚いていた。


弓矢なんかよりは何倍も速い、マッハスピードで飛んでいく銃弾のすさまじさは、なんとなく理解できたようだ。


「では、みなさんにも実際にやってもらいますわ。まずは銃の使い方からお教えましょう」


と、私は告げた。








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