第5章158話:兵隊

その3日後。


朝。


晴れ。


屋敷の近くの山。


その山中に存在する、訓練場にきていた。


兵士の訓練場である。


私は父ルーガに、兵隊を与えられることになった。


ざっと100名ほど。


この兵隊たちは、私の直属の部隊として配属される。


隊の名前は【ルチルたい】。


男性兵士45人、女性兵士55人という内訳だ。


隊長は私。


副隊長としてシャルティア。


隊長補佐官としてホーヴァン。


……である。


(たった100人の兵士だけど、せいぜい精兵へと鍛えることにしましょう)


と、私は思った。


訓練場を見渡す。


訓練場のグラウンドには、兵士たちが既に揃っている。


兵士100人は、ほぼ全員が新兵だ。


一から、私が鍛えることになっている。


「整列!」


と、私は兵士たちに告げた。


「わたくしはルチル・ミアストーン。ルーガ閣下より、このルチル隊の隊長を任されることになりました。以後お見知りおきを」


まずは挨拶をする。


「あなたがたは、ほとんどが新兵だと聞き及んでおりますわ。ならばわたくしが、好きなように、あなたがたを鍛えていきます」


さらに続ける。


「最初の3ヶ月は基礎体力訓練。同時に、戦闘技術や必要技術の習得に励んでいただきますわ。それが終わったら、サバイバル訓練や山中訓練などをおこないます。冬になると、できないことも多いので、室内での座学や運動が中心になるでしょう」


私は、つらつらと予定を述べていく。


ちなみに兵士たちは、兵舎に泊まり込みでの訓練である。


最低限の給料と、食事を与えることになっている。


「では、前置きはこれぐらいにして、さっそく訓練を開始します。まずは準備運動から」


ウォーミングアップのメニューとして、


準備体操1回。


訓練場グラウンドをランニングで10周。


基礎筋トレ3セット。


……などなどをおこなってもらう。


終わったら、ふたたび兵士たちを整列させた。


「では木剣を持って、素振り10分をおこなってもらいます」


と、私は宣言する。


私は木剣を取り出して、構えた。


「このように――――、一! 二! 三! ! といった具合に、声を出しながら、上段の斬撃を、身体強化魔法アリでおこなってください」


私は、お手本として素振りをしてみせた。


兵士たちから感嘆の声が漏れる。


「す、すげえ……」


「めちゃくちゃ速い素振りだな」


「隊長って、まだ116歳なんだよな?」


「あたし、あんなに速く振れないわ……」


私は、木剣を止めて、言った。


「では、さっそく開始してください」








そして、素振り訓練が開始される。


「「「「一! 二! 三! ! 五!」」」」


と、兵士たちが声を上げながら素振りをする。


私は、兵士たちの間にできた通路を歩きながら、その素振りを観察する。


だが。


「ストップ!」


と、すぐに私は告げた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る