第5章156話:食事

さらに1ヶ月が経つ。


学期末試験を無事に終える。


この試験結果は公表され、無事、筆記試験において私は学年首位を取った。


多くの人に賞賛された。


春学期が終わる。


そのまま夏季休暇なつやすみに入る。







私は久しぶりに、故郷のミアストーン公爵領へと帰省することにした。


夜。


ミアストーン公爵邸。


夕食を、食堂にて食べる。


父と二人での食事であった。


使用人たちが食堂のすみに控えている。


そこにエドゥアルトも並んで立っていた。


「大学では、ずいぶん活躍しているそうだな」


と、父ルーガが言ってきた。


私は答える。


「活躍、というほどのことは何も。普通に生活しておりますわ」


「謙遜するな。入試首席、同時に、学期末試験も首位だったそうではないか。さすがはわが娘だ。父として誇らしいぞ」


「ありがとうございます。しかし、まだまだ自分の中に、足りない部分が多いと感じておりますので、慢心せず、努力を続けたいと思いますわ」


「うむ。その意気だ」


食事を続ける。


と、いよいよ料理係によってメインディッシュが届けられ、私と父の前に差し出された。


私はその料理を見て、目を見開く。


「ロブスター……?」


ロブスターの塩焼きだ。


ホクホクとした潮の匂いが鼻腔をくすぐる。


「ああ。お前がいたく気に入った料理だと、アリアから聞いたぞ。せっかくなので、私も食べてみることにした」


「なるほど」


アリア経由で、ロブスターの存在が父の耳に入っていたのか。


そういえばロブスターを流通させてほしいと、1~2年ほど前にアリアに話したっけ。


たしか、メルトルーンの街から帰る途中、ナキヴィス侯爵領都でのことだ。


(あれから結構経つね……)


と、私は一瞬、懐かしい思いにふけった。


さっそく、食事を始める。


ロブスターの分厚い肉をがぶり。


おお……美味しい。


うちの料理長、かなり練習しただろうと感じる味わいであった。


「美味いな」


父も満足げだ。


「ロブスターには、マヨネーズがとても合いますわ」


「ふむ? そうなのか?」


「はい」


私は使用人に、マヨネーズを持ってこい、と目配せをする。


使用人は静かにうなずき、部屋の隅、台の上に置いてあったマヨネーズを持ってきた。


私は父上とともに、マヨネーズをロブスターにつけた。


口に運ぶ。


父上は感心の声をあげた。


「なるほど。確かに合う」


「美味しいでしょう?」


「ああ。だが、そもそもマヨネーズは何にでも合うからな。よくお前は、こんな便利な調味料を開発したものだ」


「お褒めいただき恐縮ですわ」


私は答える。


父との食事を続ける。


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