第5章155話:新商品2

(うーん……もう作っちゃおうか。冷蔵庫)


私はオーバーテクノロジーだと思って、冷蔵庫などの電化製品の製作は敬遠していた。


しかし、電化製品のない生活は不便なことも多い。


うん。


決めた。


作ろう。冷蔵庫!


作り方も素材も、わかっているしね。


(どうせなら、ビールが飲める店とか作ってもいいな)


居酒屋とか焼き鳥の店とか。


焼き鳥……。


うん、焼き鳥居酒屋はいいかも?


ビールにピッタリだし。


この異世界は力仕事に従事している人が多いから、人気が出そう。


あと、大学帰りにいける居酒屋が欲しかったんだよね。


なければ自分で作るしかないよね?


「アリア。唐揚げの店はまだ出せないのですわよね?」


「え? ええ、まあ。大規模に展開するなら、ジャガイモがもっと必要ですので」


「なら先に、焼き鳥居酒屋を作りませんか?」


「焼き鳥居酒屋?」


困惑顔をしているアリアに、私はコンセプトを説明した。


するとアリアは、肩をすくめた。


「鳥を使った串焼きの店ですか。そんなの、いくらでもありますよ?」


「ふふふ。わたくしが考える焼き鳥は、そこらの焼き鳥とは一味違うのですわ」


「……どう違うんですか?」


「それはですね……炭火焼ですわ!」


そしてこの日から。


急遽、焼き鳥居酒屋プロジェクトが始動した。


コンセプトは「キンキンのビールが飲める、炭火焼の焼き鳥居酒屋」だ。







―――まず。冷蔵庫を作る。


仕組みはわかっているので錬金術でパパッと作ってしまう。


屋敷のアトリエにこもって、1時間もしないうちに完成だ。


なお、冷蔵庫を動かすには電気がいる。


だから発電機も製作した。


店の裏に発電機を置いて軽油を投入して動かす。


停電だけは絶対に避けたいので、予備のバッテリーも製作して、冷蔵庫の準備は完了だ。






焼き鳥の店は熱がこもりがち。


店内には冷房設備が欲しいところだ。


しかし、ガチの冷房を製作することはしない。


私が以前に錬金術で作った【冷却石】を使う。


これで冷房の問題もクリアだ。







焼き鳥については基本は塩をかける。


しかし焼き鳥といえばレモンだろう。


というわけでレモンを大量入荷させた。


さらに焼き鳥のメニューは、


もも、


かわ、


こころ、


ずり、


ぼんじり、


せせり、


つくね、


なんこつ、


手羽先


そしてビールと野菜類。


……としておこう。


予定通り、焼き鳥は炭火焼。


炭火で焼いた焼き鳥に、塩を振ってレモンをかけて食べたら……どれだけ美味しいか。


実際にアリアに食べてもらったら、感動して狂乱していた。


これは絶対に人気になる、と確信が持てたらしい。






開店予定日は夏季休暇なつやすみ中を予定する。


開店のための準備や作業は、全てアリアに一任することにした。

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