第4章151話:来客

と、そのときだった。


ティールームの入り口の扉が、トントンと叩かれる。


「ん……」


エドゥアルトが言った。


「誰か来たのでしょうか? 私が開けにいきま―――――」


トントントントントントン!!


と、エドゥアルトの言葉をさえぎるように、連続で扉が叩かれた。


はた迷惑な来客だ。


フランカが困惑したように言った。


「いったいどなたでしょう?」


マキが不安げに口にする。


「どなたであれ、連続で戸を叩くなど……こんな礼儀知らずは、無視したほうがよろしいのでは?」


私は答える。


「まあ、頭のおかしい来客かもしれませんからね。でも、それならそれで、むしろ顔を見ておいたほうがいいかもしれませんわ」


そう言って、私は立ち上がった。


扉に近づく。


トントントントントントン!!


ああ、はいはい。


いま開けますよ、っと。


私はティールームの入り口の鍵を解除して、扉を開ける。


果たして、そこにいたのは、


「やっと開けおったか。久しぶりじゃな、わが宿敵・ルチルよ!!」


「……」


ルビーロッドであった。


私は扉を閉めた。


みんなに向き直る。


「誰もいませんでしたわ」


「おい! 黙って扉を閉めるな!」


と、ルビーロッドが閉まった扉を開け放ち、言ってきた。


「相変わらず礼儀知らずな女じゃな、おぬしは!」


「……扉をしつこくノックすることは、礼儀知らずに当たらないんですの?」


「ふん。それはそれ、これはこれ……じゃ!」


なんと都合の良い。


私はため息をついてから、尋ねた。


「で……何の用ですの?」


「ん……まあ、その、デリケートな話じゃ。少し顔を貸せ」


うん?


ルビーロッドにしては歯切れが悪いな。


まあ、いいか。


「わかりましたわ」


すると、エドゥアルトが心配そうに口を開く。


「ルチル様……」


「大丈夫ですわ。ちょっと二人で話すだけですもの」


「ルチルの専属騎士か。安心せよ、別にルチルと交戦したりせん。少し話をしてくるだけじゃ」


「は、はぁ……」


ルビーロッドの言葉に、エドゥアルトが渋々納得する。

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