第4章145話:戦闘

「いきます!」


と、ゼリスは宣言し、構える。


次の瞬間。


彼女は地を蹴って、こちらに向かって跳躍してきた。


斬りかかってくる。


「……」


私は、難なく木剣を受けた。


つばぜりあいの構図になる。


ゼリスが言い放った。


「不正で勝って威張ってるあなたに、真の強さというものを教えてさしあげます!」


私は呆れそうになる。


真の強さ、ねえ……。


ゼリスって、別にめちゃくちゃ強いわけじゃない。


どう考えても「真の強さ」とやらを教えられる立場にないだろうに。


「……」


私は、無言のまま、相手を押し返す形で、つばぜりあいを解いた。


「む……!」


ゼリスが後ろによろめき、たたらを踏む。


だが。


「ハァッ!!」


すぐさま体勢を立て直し、ゼリスは斬りかかってくる。


その斬撃を、私は軽くいなす。


ゼリスは果敢に何度も斬りかかってくる。


ときに魔法を放ってくることもあった。


水魔法である。


それを私は丁寧に処理する。


ゼリスは言った。


「どうしたんですか!? 守ってばかりじゃ勝てませんよ!!」


斬撃を繰り出しながら、さらに続けて述べる。


「やっぱりあなたは、不正で勝ったんですね! だから、反撃の手も出せないんでしょう!?」


はぁ……


勘違いもいいところだ。


お望みどおり、反撃してやろう。


「ふっ!」


「!?」


試合が始まってから、はじめて繰り出した私の斬撃。


それをゼリスが受けるが、


「くっ!?」


斬撃の重さ、衝撃を殺しきれず、後退させられ、転んだ。


尻餅をついたゼリス。


「どうしたんですの?」


と、私は問いかける。


「真の強さ、とやらを、教えてくださるのではなかったんですの?」


「……ッ!!」


ゼリスは怒りで耳まで赤くなる。


すぐさま立ち上がって、叫んだ。


「舐めるなァッ!!」


斬りかかってくる。




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