第3章121話:パンケーキ


翌日。


朝。


晴れ。


私は大学に通う前に、屋敷のキッチンでパンケーキを製作した。


今後、お茶会を開くにあたって、美味しく食べられるスイーツがあればと思ったからである。


過去に作ったことがあるから、作り方は覚えていた。


パン生地のうえにクリームを乗せて。


さらにクリームの周りにラズベリーとブルーベリーを並べる。


最後にいちごのソースを上から垂らして、完成である。


「よし、できた」


完成した生地を少し食べてみる。


うん……甘くて美味しい。


我ながらよく出来ていると思う。


ところで。


パンケーキとは菓子なのか? 料理なのか?


という疑問がわく。


まあ、お腹が膨らむ優秀な料理ではあるだろう。


しかし見た目からすると、やはりスイーツと言えるのではないだろうか。


うん、まあ菓子でいいや。


そう結論づけた。


さて、エドゥアルト、それからメイド長と執事長にも試食してもらおう。


私はそう思い、キッチンをあとにする。





屋敷を歩き回り、エントランスに差し掛かったとき――――


アリアが玄関から現れた。


「お? アリア。久しぶりですわね。どうされたんですの?」


「お久しぶりです、お嬢様。ちょうど王都を立ち寄る機会があったので、こちらへ顔を見せに参りました」


「そうだったんですのね。あ……ちょうどよかったですわ。アリアにも食べていただきたいものがあるんですの」


「食べ物、ですか?」


「新しい商品となりうる菓子を作りました」


「……!」


アリアがずいっと身を乗り出した。


私は言った。


「よければアリアにも試食していただきたいと思いますわ」


「是非」


こうしてアリアも試食に参加することになった。


それからエドゥアルト、メイド長、執事長などを集めて食堂に向かう。


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