第3章120話:続・講義の話


「ああ、それと、数学系の科目は……苦手なら受けないほうがいいです」


エドゥアルトは異様な迫力を込めて言った。


苦手なら絶対にやめておけ、と圧力を放っているかのようだ。


その理由を次のように述べた。


「数学系の教授は、基本、わからなくても教えてくれませんからね。あと出席点はゼロ、完全にテストだけで単位が決まることが多いです」


「それはイヤですね」


フランカは真顔で言った。


マキもウンウンと頷いていた。


出席点は入らず、テストが全て……というのは、完全な実力主義だ。


努力が一切考慮されない。


「逆にいえば、一度も出席しなくてもテストに合格すれば単位がもらえるということですの?」


「まあそうですね。ルチル様のように、数学が得意ならば美味しい科目かもしれません」


異世界の数学ぐらいなら、ノー勉でもなんとかなりそうな気がする。


万一、単位を落としてもペナルティがあるわけではない。


数学系の単位は2、3個取っておいてもいいかもしれない。


「ところで、別の質問になるんですが……単位とか関係なく、面白い講義はありますか?」


フランカが良い質問をした。


私もちょうど、それを聞こうと思っていたところだ。


「そうですね……私の所感になりますが、【遊戯実習】は面白かったですね。商学部の実習なのですが、売れそうな遊び、あるいは遊び道具を考えるという実習です。自分たちが考えて作った製作物で遊んだりするので、すごく刺激的でした」


へえ、面白そうだ。


遊戯実習か。


私、取ってみようかな。


「あと【サバイバル実習】は面白かったです。山にあるものだけで竿を作って釣りをするとか、いろんな技術を教えてもらえました」


「それは為になりそうですね」


マキはそう応じつつも実際は興味なさげだった。


一方、フランカは興味津々だった。


「それ、面白そうですね! 私、受けてみたいです!」


私も面白そうだと思った。


うーん、面白そうな講義が多くて困るね。


とりあえず、エドゥアルトの情報を踏まえて、いろいろ取ってみることにしよう。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る