第3章118話:茶会の語らい
「そういえばみなさんはもう講義をお決めになったんですか?」
エドゥアルトがふいに尋ねてきた。
「そのことについてですが、エドゥアルトに意見を求めたいと思っておりましたの。まだわたくしは半分ぐらいしか決まってないですから」
大学の時間割り(コマ割り)は、必修科目以外は自由に決めていい。
しかし自由に決めろと言われると、それはそれで悩むのが人間というものだ。
「上回生であるエドゥアルトなら、教授の特徴や講義の内容も、ある程度わかりますでしょう?」
「そういうことなら、お力になれると思います。なんでも聞いてください」
「あ、私も聞きたいです!」
「私もよろしければ聞かせてください」
フランカとマキも賛同する。
みんなコマ割りに悩んでいたんだな……と私は苦笑した。
「まず聞きたいのですが単位が取りやすい講義はありますかしら?」
「ありますよ。一番はやはり冒険者系の科目でしょうか」
「それは……冒険者学とかですの?」
「はい。冒険者学、冒険者実習などのように、冒険者ギルドが管轄している講義は、単位が易しいと有名ですね」
冒険者系の講義かぁ……。
結構興味のある講義だし、受けてみようかな。
「あと、それに関連する話ではあるのですが、みなさんは大学内に闘技場があることをご存知ですか?」
エドゥアルトが尋ねる。
マキが答えた。
「えっと……建物は見たことがありますね。中に入ったことはありませんが」
私もそうだ。
異世界らしく、この大学には闘技場が建設されている。
「その闘技場のロビーでは冒険者ギルドがクエストを出しています。そのクエストをこなせば単位が貰えるのです」
「へえ、そうだったんですね!」
エドゥアルトの情報にフランカが感心の声をあげた。
「クエストって、冒険のことですの?」
「冒険が必要なクエストも多いですが、冒険以外にもいろいろありますね。錬金術系のクエストもいくつかあったはずですよ」
それは良いことを聞いた。
絶対に確認しにいってみよう。
と、フランカが大事なことを尋ねる。
「冒険に出るということになったら、完了までに数日かかったりしますよね。そうすると他の講義とか出られなくなりませんか?」
たとえば5日間の旅が必要なクエストだったら、そのあいだ大学には通えなくなる。
その場合、どうしたらいいのかとフランカが聞く。
エドゥアルトは答えた。
「そういう場合、公欠の申請を出しておけば、講義に出なくても出席したことになりますよ」
「講義に出られないのはその通りですが、出席点だけは落とさずに済みます」
「なるほど」
フランカが納得した。
マキが尋ねる。
「冒険者ギルドの単位がラクなのはわかりました。他にラクな単位はありますか?」
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