第3章115話:ティールーム
3限目を終えて、商学部棟をあとにする。
これで、
魔法学部棟、
剣術学部棟、
商学部棟、
芸術学部棟、
……などの全てにお邪魔したことになった。
いやあ、この大学はほんとに広いね。
ただ少しずつ、どこに何があるのか把握できてきたよ。
(今日は疲れてきたし、これぐらいにしようかな?)
私はそう思い、今日は屋敷に帰ることにした。
翌日。(4月11日。水曜日)
朝。
晴れ。
魔法学部の中庭のベンチにて、フランカ、マキ、私の三人はたむろしていた。
雑談に花を咲かせる。
そんな中、マキがある提案をしてきた。
「ルチル様、ティールームを購入しに行きませんか?」
ティールーム。
それは茶会部屋とも訳される個室のことだ。
要は、茶会を開くための部屋である。
「そうですわね……まあ、早いほうが良い部屋を取れますものね」
「はい。では、参りましょう」
そうと決まればさっそく私たちは中庭をあとにする。
ダイラス魔法大学には【個室棟】というものがある。
個室棟には空き部屋がたくさん存在する。
学生は、そういった部屋を有料で利用できるのだ。
ちなみに年間利用料は500万ディリンである。
―――この個室を茶会部屋として利用しているのが貴族である。
上級貴族の子息は茶会を開きたがる。
社交の場として、商談の場として、憩いの場として。
だから個室の利用料を支払い、それをティールームとして確保している貴族は多い。
もっとも、茶会部屋として使うことが一般的だが、必ずそうしなければならないルールはない。
どんな使い方をしても自由だ。
自室として利用しても良し。
客室として利用しても良し。
もちろん部屋の内装も自由である。
とにかく必要なのは、利用料である500万ディリンだけ。
それを払えば、1年間は部屋を好きに使うことが可能なのである。
「立派な棟ですわね」
私は【個室棟】の1階ロビーに入って、そう感想を述べた。
ここは明らかに貴族向けの棟だ。
3階建て。
高級宿のようなたたずまいである。
受付嬢に話しかける。
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