第3章114話:殿下と挨拶


(アレックスの双子の弟……)


ゲームではどんなキャラだったろう?


性格や役回りなどは覚えてない。


顔は覚えていたけどね。


クラウス殿下も私を見て、見覚えがあると思ったようだ。


「……君は、ルチル・ミアストーンか」


「わたくしの名を覚えていただけていたとは光栄ですわ。殿下」


「そりゃ覚えるさ。君の家名は有名だ。それに、なんといっても新入生代表だからな。入学式の日は、どこも君の話で持ちきりだったぞ」


「あはは。恐縮ですわ……あ、ぶつかってしまったことを謝罪します。申し訳ありませんでした」


「構わない。こちらも不注意だった」


いや、さっきのは私が悪い。


「この講義室に来たということは、体験講義を受けにきたのか? ならば私と一緒に受けるか? ルビーロッドもいるが、それでよければ」


「げっ……ルビーロッドですの」


「げっ、とは何じゃ! げっ、とは!」


そのとき、話を聞いていたのか横からルビーロッドが現れた。


「わらわがいたら悪いのか、ええ? 魔法学部42位」


実技試験の順位で呼ばれる。


こいつ、私の入試順位を覚えているのか。


どれだけ対抗意識を燃やしているんだ。


私は言った。


「順位ではなくて、ちゃんと名前で呼んでいただけますかしら? 学術試験50位さん……いや100位……いや200位」


「そんな下ではないわ! わらわの学術試験は25位じゃ! しかと覚えておけ!」


「あら失礼。わたくし、あなたの順位は興味がなかったもので。えっと……ルビーネットさん?」


「ルビーロッドじゃ! おのれ、わざと間違えおって!」


ルビーロッドはぎりりと歯軋りしている。


クラウス殿下は苦笑していた。


「どうやら二人は、とても仲が良いみたいだな」


あの……殿下?


どこをどう見たらそう見えるんですか?


「それで、ルチル。どうする? 一緒に受けるか?」


クラウスが聞いてくる。


ルビーロッドを理由に断ってもいいけど……まあ、ここは受けておくか。


「そうですわね。よろしければ、ご一緒させていただきたく思います」


「わかった」


かくして殿下やルビーロッドと一緒に体験講義を受けることとなった。


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