第3章113話:第二王子

午後。


3限目。


商学部の棟にいく。


すると、あっという間に学生たちに取り囲まれた。


「ルチル様だぞ!?」


「ルチル様、わが商会と提携していただけませんか?」


「商売のコツを教えてください!」


「マヨネーズもドレッシングも素敵でした!」


「ルチル様、見てくださいこの髪! ルチル商会のトリートメントで、こんなに綺麗になったんです!」


そうか。


私が、ルチル商会の会長だから、商学部では有名なのかもしれない。


純粋にあこがれの目を向けてくる者たち。


商機を得るチャンスとばかりに目をギラつかせる者たち。


色々だ。


ただ……


ルチル商会の成功は、前世の知識チートのおかげ。


あとはアリアが動き回って、勝手に商圏を広げてくれたからだ。


だから私に教えられることはない。


「ご、ごめんあそばせ! 体験講義に来ただけですので~!」


私はそう告げて、逃げるように学生たちから離れていった。






そして駆け足でお目当ての講義室に入る。


すると。


「おふっ!?」


「ぬっ!!」


誰かにぶつかった。


「すまない。大丈夫か?」


「いえ……こちらこそ、ぶつかってしまい申し訳あり――――」


口をつぐむ。


あれ……


見覚えあるぞ、この人。


「クラウス王子! 大丈夫ですか!?」


周囲にいた取り巻きが言った。


王子、と。


そうだ。


この人……第二王子だ!


クラウス・ディ・ラ・クランネル。


パーティーなどでお見かけしたことがあるのを思い出した。



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