第3章112話:バイオリン


次は芸術学部の棟にいく。


剣術実習を終えたフランカと二人で、だ。


音楽の講義。


音楽室でバイオリンを弾く実習である。


よーし。


英才教育で鍛えた腕を見せてやる!


一曲弾く。


音楽の教授は言った。


「下手ですな」


ぐさっ。


な、なんだと?


私のバイオリンが……下手?


そんな馬鹿な。


「音が死んでおります。雑音ですね。基礎から学びなおしたほうがよろしいかと」


ぐはっ……!


ほ、本当に下手なのか?


というかこの教授、公爵令嬢に向かって辛辣すぎない?


「わ、わたくしは、下手でしょうか? フランカ……正直に教えてくださいまし」


「えっと……あはは……」


フランカが愛想笑いをしている!!


下手なんだ、やっぱり!


私は今世紀最大のショックを受けた。


「いや、でも! 一つぐらいできないこともあったほうが人間味があってよろしいかと! ルチル様は、なんでも出来ちゃう超人みたいな人でしたし!」


フランカの全力フォロー。


むしろフォローが心に突き刺さるよ。


認めよう。


私はバイオリンが下手なのだ。


それが気づけた講義だった。






マキと合流し、上級食堂で昼食を取る。


上級食堂では貴族料理が食べられる。


そして毎週1品、プレミアメニューがある。


高位の冒険者が狩ってきた珍獣の肉が食べられるそうだ。


今日は岩石獣のリブステーキがソレだ。


私はそのステーキと、きのこのスープ、サラダ、小麦パン、デザートの水飴を注文する。


そして豊かなランチタイムを過ごした。




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