第3章110話:叱責


「では次だ。ん……お前は新入生代表か」


「えっと、はい。そうですわ」


周りがざわめいた。


女教官は不敵に微笑む。


「優秀なのは頭だけか否か……期待しているぞ」


期待されても困る。


ただ、こういう訓練は何度もやってきた。


単に上に跳ぶだけのシンプルなテスト。


しかしこういうテストで無様をさらすわけにはいかない。


「ふっ!!」


膝を曲げ、呼気を鳴らして、跳躍。


びゅん……と上に跳んでいく。


3~4メートルほど跳んでから勢いが落ちる。


やがて滞空。


そこからは重力にしたがって落下していった。


最後に着地する。


「ふう……」


私は一礼する。


拍手が鳴った。


「すげえ……」


「めちゃくちゃ高く跳んだよな」


「さすが新入生代表ね」


口々に言う学生たち。


それに対し、教官が怒号を飛ばした。


「おい。感心している場合か! 彼女は魔法学部生だぞ。剣術学部生が負けてどうする!?」


教官の叱責に、剣術学部生の一同が驚いていた。


私が魔法学部生だと知らない者が多かったようだ。


「負けてもいいと思ってるクズは帰れ! 剣術学部は戦場を想定した学部だ。敗北は死を意味する。負けを深刻に受け止められないやつは、戦士として失格だ。それを肝に銘じたうえで、次のテストに臨め」


発破をかける女教官。

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