第3章96話:レオンの性格


「ちょっとぶつかっただけなんだろ。それで土下座しろとか、服を弁償とか、滅茶苦茶な言い分だろ」


レオンが怒る。


そうそう。


主人公のラクティアが貴族の子息とぶつかってしまい、土下座と衣服の弁償を要求されるシーン。


それをレオンがかばうんだよね。


「はぁ? お前平民だろ? 平民の分際で俺らに意見するのか?」


貴族の令息は、いけ好かない顔でレオンを睨んでいる。


レオンもまた、それを毅然と睨み返していた。


「貴族とか平民とか関係ねえだろ……そんな理不尽な要求があってたまるかって言ってんだよ」


「あはははは。キミは何を言ってるんだ? 平民は貴族からどんな命令をされても聞くべきなんだよ。それが身分差というものだ」


「テメエ……」


レオンがぎりっ、と拳を握り締める。


「オレはお前らみたいに、権力をかさに着てるやつが大嫌いなんだよ」


はっきりと言い放つ。


ぶっきらぼうで、不器用で、向こう見ず。


でも優しい部分もある。


それがレオンだ。


とはいえ、貴族の令息・令嬢に対して無遠慮な物言い。


レオンはたとえ貴族に目をつけられても、戦闘面なら返り討ちにできる実力があるが……


貴族というのは往々にして狡猾なもの。


レオンには、そういった理不尽な権力に対して、上手に立ち回る器用さがなかった。


それが理由で、後々、ひどい目に遭うんだよね。


はぁ……。


しょうがない。助け舟を出してやるか。


「ルチル様?」


騒動のほうに向かって歩き出す私に、マキが困惑の声を上げる。


私は言い争いをしていた一行に近づいて、言った。


「そのへんにしておきなさい」

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