第3章93話:大学長室



入学日までに、もう一度、ダイラス魔法大学を訪れる。


大学にある【学生窓口】で、入学手続きを行うためだ。


受験番号を提示して、学生証を受け取る。


この学生証が、ダイラス魔法大学の学生であることの証明となる。


あと、いくつかの書類を書かされて、提出。


これでダイラス魔法大学への入学手続きが完了だ。


このとき私は、大学の学長室に呼び出された。


学長は私に言った。


「呼び出してすまない、ルチル・ミアストーン。君に伝えておかねばならないことがあった」


「はい。なんでしょう?」


「まず、入学試験の結果については、入学後に告知することになっている。……しかし、首席の者は別だ」


首席を取った者については、入学前に通知する。


それが通例だと、学長は説明する。


「そして……君は今年度の学術試験の首席だ。おめでとう」


おお……。


王子の鼻をあかすために本気で受験した甲斐があった。


「学部ごとに試験内容が異なる実技試験と違い、学術試験は全学部共通の試験だ。ゆえに、学術試験で首席を取った者には、入学式にて新入生代表の挨拶を務めてもらうことになっている。引き受けてもらえるかね?」


ほうほう。


それはいい。


王子を全力で悔しがらせることができそうだ。


断る理由はない。


「はい。お受けしたいと思います」


「うむ。ではよろしく頼む。話は以上だ」


私は一礼してから学長室を退室する。


あとは入学日を待つだけである。



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