第2章76話:アリアと出会う



観光が終わると、別の宿屋でもう一泊する。


そうして翌日、メルトルーンをあとにした。


いよいよ旅も折り返し。


帰路である。


12月になるまでには屋敷に帰りつくだろう。





数日後。


ナキヴィス侯爵領都に辿り着く。


その領都で私は、思わぬ人物と出会った。


アリアである。


男女の護衛を3人ほど引き連れて、領都を歩いていた。


「こんなところで会うなんて奇遇ですわね。アリア?」


私が尋ねる。


アリアは答えた。


「はい。お嬢様は例の冒険中ですか?」


「そうですわ。こちらのフランカ、エドゥアルトと一緒に……ね」


「フ、フランカ・ビシュケースと申します。ルチル様の護衛をさせていただいております!」


「エドゥアルトです。同じく旅の護衛をさせていただいております」


「ルチル商会・副会長のアリアです。以後お見知りおきを」


簡単な挨拶を済ませる三人。


私は言った。


「先日、旅の目的地に着きましたので、今は帰る途中なんですの」


「なるほど、そうでしたか」


「アリアは侯爵領で何をしておりましたの?」


「私は侯爵領で調味料の店を出すために、こちらの商業ギルドに掛け合ってきたところです」


そうだったのか。


トマトケチャップやマヨネーズを、この侯爵領にも……。


だいぶ販路が広がってきたね。


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