第2章75話:買い物



食後。


夜。


私は部屋でのんびりしていた。


何をするでもなく、グラスを揺らしながら、窓の外を眺める。


夜の海は静かだ。


二つの月影が水平線から海洋に落ちている。


詩でも読みたくなる気分だ。


なかなか酔いが回ってきた。


このグラスは、結構酒精が強いようだ。


ほんのり甘味があって、口当たりがよく、ついつい飲んでしまう。


今日はこのぐらいにしておいたほうがいいな。


「さて……そろそろ寝ようかしら」


私はベッドに倒れこむ。


宿の夜が過ぎていった。





翌朝。


早朝に起きて、朝風呂に入る。


旅行といえば朝風呂だと私は思う。


まだ太陽の昇っていない薄明のなかで、湯舟に浸かるのが最高なのだ。


そして。


やはりこの宿屋の朝風呂は格別で。


「わぁ……」


窓からの見えるのは、朝焼けに染まる海。


夕焼けのような赤と、早朝の青が混ざり合って、はっとするような絶景を作り出している。


まさに山紫水明だ。


この景色を眺めながらの入浴。


なんて優雅なのだろう。


私はまったりした朝風呂を、心ゆくまで満喫した。






そのあと朝食を食べる。


宿のチェックアウトを済ませると、私たちは観光をすることにした。


市場に行って、食料と土産物を買う。


海のほうにいくと、船着き場がある。


漁船や商船が港に出入りしている。


港近くには露店がたくさん出ていて、獲れたての魚が販売されていた。


私はこの機会にいろいろ買っておくことにした。


海魚は、ここで買えば安いけど、内陸で買うと高額だからね。


あと、カニ、タコ、イカなどが激安で売られていたので確保。


この三つは食べ物だと思われていないらしく、ほとんど捨て値だった。


特にカニが100ディリンで売られているとか正気かと思った。


なので露店に売られてるカニは全部買ってやった。


時間停止のアイテムボックスがあるから、いつまでも保存できる。


いつかカニ料理を作るぞ。








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