第2章74話:ロブスター
まずはエドゥアルトがロブスターの肉を口に運んだ。
「おお……これは美味しいですね!」
フランカも食べる。
「甘味と塩加減が絶妙で、歯ごたえも楽しいですね。これ、すごく好きです」
「ふふ。気に入ってもらえたなら、わざわざ紹介した甲斐がありましたわ」
「自分だけで来ていたら決して頼まなかった料理ですから、教えていただけてよかったです」
と、エドゥアルト。
「こうした沿岸部の街から、内陸に海産物は届けられていますが……そういえばロブスターはあまり見かけたことがありませんわね」
過去にパーティーや夜会に参加したことはある。
しかし、一度もロブスターが饗されているところを見たことがない。
美味しい食べ物だと周知されていないのだろう。
もしくは二人のように、存在自体を知らないということもある。
「ザリガニは美味しいですが、貴族の方は食べませんからね。ロブスターも見た目で敬遠されているのかもしれません」
フランカがそのように推測を述べる。
「フランカは、ザリガニを食べたことがおありなんですの?」
「私は兵士ですから。山中訓練で食べたことはありますよ」
「ああ……」
納得する。
ちなみに私は食べたことがない。
(王都や公爵領に輸送して、ロブスターを布教するのもアリかもしれませんわね)
これについてもアリアと相談してみようと思った。
「それにしても、ここ、なかなか当たりの店ですわ」
私は素直にそう思った。
ロブスターの塩焼きも美味しいが、魚介パスタも悪くない。
それに海を眺めながらの林檎酒は、とても優雅だ。
メルトルーンに立ち寄って正解だったな。
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