第2章71話:バフポーションを渡す


私は例のバフポーションの予備をアイテムボックスから取り出した。


それらをエドゥアルトたちに差し出す。


「あなたたちも、いざというときはコレを使いなさい」


フランカが驚いたように確認してくる。


「そんな貴重なものを頂けるのですか?」


「材料さえあれば簡単に作れますから、貴重ではありません。ただ、このバフポーションの存在は他言無用ですわよ。秘密の切り札として扱いなさい」


二人はバフポーションを受け取る。


エドゥアルトが言った。


「譲っていただき感謝します。わかりました、絶対に他言は致しません」


「私も、他言しないと約束します!」


私は満足げにうなずく。


二人が他言する心配はないだろう。


「よろしい。それでは、海岸での用も済みましたし、そろそろ出発しましょうか」


私は宣言した。


ちょうどそのとき、汗が引いてきた。


べたつくのがイヤだったし、砂がたくさんついていたので、【洗浄魔法】で身を清めておく。


エドゥアルトが尋ねてきた。


「魔人騎士を倒したことで、旅の目的は果たしたということになるんですよね。今後はどうされるのでしょう?」


「もちろん帰りますわ。しかし、せっかく王国の沿岸部まで来たんですもの。海の街に寄ってみるのも一興ですわね」


「海の街ですか。この近くにあるでしょうか?」


フランカが尋ねてくる。


私は答えた。


「調べたところによると、ここから南にいけば【海の街メルトルーン】がありますわ。そこに向かいましょう」


次の行き先を告げる。


二人に異論は無かった。


私たちはカルッシャ海岸をあとにして、南へと歩き出した。


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