第2章70話:強さ


フランカは興奮したように言う。


「お疲れ様です! すごい戦いでした。ルチル様があんなに強かったなんて……私、本当に尊敬します!」


おお……滑らかにヨイショできてるな。


このヨイショ力なら、取り巻きとしてもやっていけるだろう。


『ヨイショじゃなくて本音だからでしょ。嘘で持ち上げるときは、まだまだ下手よこの娘』


シエラ様が念話で突っ込んできた。


なかなか手厳しいね。


続いてエドゥアルトが言った。


「さきほどの一戦、感服致しました。そしてご勝利、おめでとうございます。ルチル様の騎士として誇らしく思います! 私も、ルチル様みたいに強くなれるよう修行します!」


「謙遜ですわね。現時点でもあなたのほうが強いですわよ」


「ルチル様こそご謙遜を。私はあんなふうに強い剣は振れませんし、速く動けません」


それはバフポーションを使ったからだ。


普通に戦ったらエドゥアルト以下である。


そのあたりのことも言っておいたほうがいいかな。


「実はさっきバフポーションを使ったのですわ」


「バフポーション……ですか。そういえば戦う前に何か飲んでいましたね」


エドゥアルトが思い出したかのように言う。


「はい。わたくしの錬金術で作ったものです。通常のバフポーションより何倍も強力ですわ。ですからわたくしが生身で戦ったら、魔人騎士にも勝てませんし、エドゥアルトよりも弱いです。ポーションに頼った卑怯者なのですわ」


そう告げるとフランカが擁護してきた。


「でも自作なのですよね? ルチル様がご自身の錬金術で作ったものならば、使っても卑怯とは言えないのでは」


エドゥアルトも賛同する。


「そうですよ。自分で作ったものを使うのは、実力でしょう。私だったらバフポーションを自作したりできませんし」


「そう言っていただけると助かりますわ。まあ、でも、言いたいことはそこではありませんの」

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