第2章55話:最上級ポーション
「え? ほ、本当ですか!?」
私の回答に、驚くフランカ。
彼女をよそに、私はハイポーションをアイテムボックスから取り出した。
精霊の血液が乗った小皿と、ハイポーション3つを地面に並べる。
深呼吸をする。
そして。
(錬成!)
錬成の光が溢れる。
ハイポーションと精霊の血が光に満たされ、消えていく。
そうして数瞬後。
現れていたのは、黄金に輝く一本のポーションだった。
見るからに神聖な輝きを放っている。
―――鑑定。
うん、たしかに最上級ポーションだ。
完成である。
「ほ、本当に最上級ポーションを……」
エドゥアルトが驚愕に目を見開いていた。
私は言った。
「これを娘さんに飲ませてあげなさい」
「あ、ああ……」
エリーシャ父に最上級ポーションを手渡す。
彼はおそるおそるポーションの瓶を開けると、それを倒れ伏すエリーシャさんに飲ませた。
すると―――
まるで神の加護に包まれたかのように、エリーシャさんの身体に金色の光が満ちる。
傷口が塞がっていく。
一瞬で、あっという間に。
数秒後。
気を失っていたエリーシャさんが目を覚ました。
「あれ……? 私……」
「おおっ! エリーシャ!!」
エリーシャさんが上体を起こす。
それをエリーシャ父が抱きしめた。
「良かった、本当に良かった! エリーシャ!!」
涙を流して娘の回復を喜ぶ父。
村人たちにも歓声とどよめきが広がっている。
「本当に治った!?」
「あんな怪我を治したというのか……」
「すごい」
口々に驚きと賞賛を口にする村人たち。
エドゥアルトたちも驚愕に目を見開いていた。
やがてフランカが興奮して言った。
「すごい……本当にすごいです! あんな重傷を治してしまわれるなんて……! ルチル様は天才です!」
エドゥアルトも信じがたいものを見たかのように言う。
「本物の最上級ポーション……奇跡だ……」
奇跡……か。
まあ、そうだろう。
精霊の血を使わなければいけないポーションなんて、気軽に作れるものではない。
後でこの二人と村人には、口止めしておこう。
完全な情報封鎖は無理でも、できる限りは……ね。
シエラ様のことを大っぴらにするわけにもいかないからね。
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