第2章43話:滝のスキル石
やがて昼も過ぎたころ。
目的地の滝にたどり着く。
崖の上からザワザワと音を立てながら、滂沱の水が流れ落ちている。
滝壷の水も澄んでいて、水底が透き通って見えるほどだ。
「へえ……こんなところに滝があったんですね」
フランカが感嘆していた。
エドゥアルトが滝壷を見ながらつぶやく。
「そこそこ大きな魚もいますね。50センチぐらいでしょうか。獲ったら良い食料になりそうですが」
ソレに対して、フランカが首をかしげて言った。
「これ以上、食料って必要でしょうか。ウルフなどの肉が大量に余っていると思いますが」
「それはそうですが、魚も欲しいと思いませんか?」
エドゥアルトの言葉には、どこか気迫が乗っていた。
魚が好物なのかもしれない。
私は苦笑して言う。
「だったら何匹か捕獲しますか。と、その前にわたくしは用事を済ませてきますね」
するとフランカが尋ねてくる。
「用事ですか。何をなされるので?」
「あの滝の裏にスキル石があるのですわ」
「え、そうなんですか?」
「はい」
答えると、エドゥアルトが怪訝そうに聞いてきた。
「なるほど、それが目的でここに来たんですね。でも、よく滝の裏にスキル石があるとわかりましたね?」
「ギクッ」
「何か事前に調べる方法でもあるんですか?」
「えーと、それはそのっ、占い師ですの! 公爵家には、優秀な占い師のツテがあるのですわ!」
私はとっさに言い訳を述べた。
公爵家に大手の占い師のツテがあるのは本当だ。
ただ、さすがにスキル石の場所を予言するほどではないが……
(まあ、ゲーム知識だなんて正直に言えないしね……)
「なるほど。占い師にまでツテがあるなんて、さすがミアストーン家ですね」
エドゥアルトが納得したように言ってくる。
ふう、よかった。誤魔化せた。
「で、では、スキル石を回収してきますわねっ」
私はそう言って、そそくさと滝の裏へ向かう。
そこで【耐寒スキル】のスキル石をゲットした。
さっそく使用し、スキルを習得する。
このスキルは、いわゆる【パッシブスキル】だ。
詠唱せずとも常時発動するタイプのスキルである。
ただしオン・オフの切り替えができるようだ。
オンの場合は耐寒アリ。
オフの場合は耐寒ナシ。
まあ、耐寒ナシのほうがいいという状況は少ない。
だからとりあえず、オンにしておけば間違いないだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます