第2章41話:草の鑑定
冒険2日目の早朝。
薄明。
「ん……」
私はテントの中で目を覚ます。
起き上がって、外に出た。
ひんやりとした空気がただよっている。
まあ、10月だからね。
暑過ぎず寒すぎない、ちょうどいい季節だ。
「おはようございます」
エドゥアルトがテントから少し離れたところで、剣を振っていた。
昨日はエドゥアルトとフランカが交代で寝番をしていた。
「おはようございます。わたくしは起きてますから、寝てきてもいいですわよ」
「さようですか。では、お言葉に甘えさせていただきます」
エドゥアルトは剣を納め、テントに入っていった。
さて、私も水魔法で顔を洗ったら、軽く剣の素振りでもしましょうか。
3時間ほどが経つ。
二人が起きて来て、朝食を摂った。
それらが終わると、テントを片付け、出発を開始する。
森を歩き始める。
朝の森は、気温が少し低く、土もひんやりしている。
木や濡れた葉の匂いが伝わってくるかのようだ。
「お……」
私は歩きながら周囲の草花に鑑定魔法を使っていた。
可食かどうか、確かめていたのだ。
鑑定時にはウインドウがぴょこんと表示されるが、このウインドウはフランカたちには見えていない。
そうして鑑定を行っているうちに、可食判定が出た野草を見つけた。
しゃがんで、引き抜く。
「ルチル様?」
フランカが何事かと目を向けてきた。
私は告げた。
「店で買った野菜は無限にあるわけではないですからね。今日からは野草も現地調達しますわよ」
「なるほど……ということは、その草は食べられるんですね?」
「ええ。葉と根っこが食べられるようです」
するとエドゥアルトが感嘆したように言った。
「ルチル様は野草にもお詳しいのですね?」
「え? ああ、いや……実はわたくし、【可食判定魔法】を習得しているんですの」
そう答えると、二人は驚いたように目を見開いた。
エドゥアルトが言う。
「可食判定魔法って……かなり希少なスキルでしょう?」
まあ希少だとは思う。
5000万ディリンもしたからね、スキル石。
フランカも続いた。
「その魔法を習得している方は、はじめて会いました。軍でも会ったことないですよ」
さらにエドゥアルトが尋ねてくる。
「ルチル様は錬金術師なんですよね? 洗浄魔法もそうですが、どうしてそんなにすごいスキルを所持してるんですか?」
「そこはまあ……秘密ということで」
スキル商人から買ったものだ……ということは打ち明けないでおいた。
なぜならスキル商人は魔族だからだ。
あまりペラペラと吹聴したら、あの商人の立場が危うくなるかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます