第五話 迷惑配信者は死なない
「はっ!?」
ガーベは飛び起きる。
そしてすぐさま周囲を確認。
「ベッド!? それにどこだこの部屋は…….いや、いやいやいや待て! 初配信は!? 俺のリスナーは!? 金は!?」
どうなったどうなった。
どうなったどうなったどうなった。
ギルドマスターに渡した賄賂。
冒険者たちを雇うのに使った金。
そして、それ以前から使いまくっていたギャンブル資金。
そう。
ガーベには大量の借金があるのだ。
つい先日も借金取りが家(橋下のダンボール)にやってきたくらいだ。
だからこそ初配信に賭けていた。
そしてガーベは賭けに勝っていた。
肝心なところでコケてしまったあの時までは。
「終わった…….なんだよ、これ」
ガーベがマジックチューブを開き、自らのチャンネルを見てみると。
そこに書かれていたのは。
このチャンネルは凍結されました。
そんな文字。
要するに、あの一時で稼いだ全てのリスナーをガーベは失ったのだ。
こうなった以上、広告による収益も見込めない。
(マジで終わった…….いや待て。よく考えたらまだ可能性はあるんじゃないか?)
リーシャ・ブライト。
(あいつをめちゃくちゃにするって内容の配信がウケて、大量のリスナーが来たんだ)
つまり、アカウントを新しく作り直し。
もう一度リーシャをメインに据えた配信をすればリスナーを取り戻せる可能性がある。
(でもリーシャがどこにいるのかもうわからない…….ギルドマスター曰く、リーシャは旅の冒険者だったはず)
などなど。
ガーベがそんなことを考えた、まさにその瞬間。
ガチャ。
開かれる部屋の扉。
そしてそこから入ってきたのは。
「あっ。起きていたのですね?」
白銀の長髪と碧眼。
程よく膨らんだ胸。
そして髪と同色のドレス風騎士甲冑。
リーシャだ。
リーシャ・ブライトだ。
「よかった……本当によかった」
ツー。
と、ガーベは喜びと安心感から思わず涙を流してしまう。
これでまたリーシャをめちゃくちゃにする配信が行えるからだ……と、そんなことを考えていたら。
ツー。
と、ガーベと同じく涙を流し始めるリーシャ。
彼女はそのまま彼へと言ってくるのだった。
「リーシャが無事だったことに、泣いて喜んでくださるなんて……なんて高潔で優しいお方なのでしょう」
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