第二話 初配信は美少女勇者屈服調教②

「リーシャの初めてのダンジョン冒険……頑張ります!」


 てこてこ。

 てこてこてこ。


 ダンジョンをオドオドした様子で進んでいくリーシャ・ブライト。

 彼女はひょこひょこ左右を見たのち。


「うぅ……暗くて怖いですっ。でも、ここにある伝説の剣を手に入れれば…….きっと、きっとリーシャも一人前の勇者にっ!」


 ぐっと、胸の前でまた小さくガッツポーズをするリーシャ。

 彼女は小声で「ファイトです、リーシャ!」などと言いながら、どんどんダンジョンを奥へと進んでいく。


 狙い通りだ。

 さてさて。


「それじゃあ俺も、あの子にバレないように付いていきたいとか思いまーす」


『ストーカー頑張ってください』


『早く襲え』


 それにしてもあのリーシャ。

 強い。


(俺が冒険者に頼んで、強い魔物を事前に倒してもらった……っていうのはあるけど)


『リーシャちゃん普通に強くてワロタ』


『駆け出しとは草』


『剣の一振りで魔物四体同時に倒してるやん』


『ブライトってあのブライト?』


『まるで魔物がゴミのようだ』


 リスナーたちの言う通りだ。

 底辺冒険者すら務まらず、何もかも諦めて人の足を引っ張ることに決めたガーベとは何もかも違う。


 だがしかし。


「普通じゃ手の届かない存在を引き摺り落として、屈服させて……ドロドロに調教するのが楽しみだぜ」


『内心漏れてるぞ』


『クズ人間やな』


『早く襲え』


 コメントの中に先ほどからチラホラ見受けられたが、そろそろ我慢できなくなっている連中がいるようだ。


「お前ら全裸待機しすぎだろ。まぁ見とけって、もう少ししたら俺がお前らに最高のおかずを提供してやるよ」


『今襲えば良くね?』


『ダンジョンの奥まで行く必要ない件』


『チキンじゃん』


「と、思うじゃん? もう少し進んだところに、俺が作った特製のが伝説の剣が刺さってんだよ!」


 ズバリ。

 持ち手に強烈な痺れ薬が付いている。

 ガーベがそれをリスナーへと説明してやると。


『女に対してのみ強いんじゃねぇの?』


『アホすぎ意味ないやん』


「マジでお前らわかってねぇな。そりゃ戦ったら勝てる……だかしかし、俺は動けなくて悔しそうな顔をしている女の子を襲いたいっ!」


『キモすぎんだろ』


『こだわり強くて草』


『ブライトって本物?』


『こいつの喋り方うざくね?』


『早く襲え』


「うるせぇ! お前らもそういうシチュエーションが好きなんだろうが!」


「あれ? 今何か声がした気がします……何でしょうか?」


 と、突然振り返ってくるリーシャ。

 咄嗟に岩陰に隠れたが危なかった。

 危うく見つかるところだった。


(やれやれ。リスナーとの会話で盛り上がりすぎるのも、このジャンルの配信だと困りものだな)


 リスナーが来てくれてることが嬉しすぎて、ついつい声をデカくする悪癖。

 早めに治さなければ。


 などなど。

 ガーベがそんなことを考えている間にも、リーシャはどんどん進んでいき。


「ダンジョンの一番奥に着きました!」


 バンザーイ!

 と、ぴょんぴょんジャンプして喜んでいるリーシャ。


 これから酷い目に遭わされると知らずに、呑気なものだ。

 まぁせいぜい最後に——。


「ん、あれ!? 剣がない!!」


『アクシデントきちゃああああ!』


『作戦なくなったなら無理やり襲えよ』


 リスナーの言う通りだ。

 どうして、剣がなくなったのかは不明だ。

 けれどそれならば、押し倒して無理やりすればいいだけの話。


「あれ、おかしいです……このダンジョンの最奥にある台座に伝説の剣があるって…….台座ってここ、ですよね?」


 言って、洞窟の最奥——壁付近にある台座の側に立ってキョロキョロしているリーシャ。

 その背中は隙だらけだ。


 背中から一撃くらわせて、身動き取れなくする。

 そうしたらショータイムだ。


 ガーベは垂れそうになる涎を拭いながら手順を確認。

 そして、彼は短剣を取り出したのちリスナー達へと言うのだった。


「ガーベ、行きまーすw」

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