第37話 霊感高校生

天野雫はそこにいた。


(お玉、カツラです、、。それはズレてますよ。)

しずくは大声を出したつもりだった。

周りにしたら囁き女将くらいにしか届かない。


「ねっ!見てよ!あの人二年生じゃない?

なんか、陰気なオーラ背負ってるよ。」

「ホント‼️

もしかして、霊感高校生??

おばさんに取り憑いてる貞子を除霊しに来たんじゃない??」

「そーいうのって、感じるんだって。

きっとさ、ビビってきたのよ。」

貞子対高校生霊媒師の闘いね!」


クラスのみんなは知らんけど、盛り上がってきた。


天野しずくと言えば、ちーとも玉子に伝わらないので、ついに意を決して教室に入った。

緊張のあまり、顔色は真っ青でロボットみたいに歩いて玉子の席までやって来た。


「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、、、、。」

しずくは玉子に声を掛けようと必死だった。


「やだ!始まったわよ。

なんだろ、あれ呪文なのー??」

「動画撮らなきゃ、こんな闘いをSNSで

拡散しなきゃー。」

さらに盛り上がるクラス。


「あーん?おめえ、誰だ?

どうも二年だな。この前の奴らか、、。

おめえ、二年が一年のハコにやって来るってのがわかってるんだろうな。

シメに来たつうことなんだな!」


「あわあわあわあわー。

おったまげーーの、あたまがーあたまがーっ!」



「きたきたーー。頭から出てけー、貞子って言うのね。出るかなー??」

「髪の毛がブワーって伸びてきたら

逃げるわよ。」


「おめえ頭、頭って。頭カチ割りに来やがったんだな!んにゃろうー、受けてやろうじゃねぇーかーーーっっ‼️」

玉子はイキリだった。


しずくは玉子のズレてるカツラを直してあげようと頭に手を伸ばした。

しずくは目の前に黒い物体が見えたと思った。

ぐらりと体が倒れてくのを感じた。

バターン‼️‼️


「きゃーーっ!霊媒師が負けたわーよー。」

「霊能力が効かないーー!」

「逃げなきゃー。みんなーー!」

あっと言う間に、誰もいなくなった。


玉子は頭突きの衝撃でカツラもぶっ飛んでいた。

「あれ?急に良くみえらー。

なんだ??

うん?メガメじゃねぇか。

お前、どーしたんだ?」


「ぁぁぁ、、、、。」

しずくはそれだけ言うと目を回してしまった。


「おい!メガネーっ!おめぇ、誰に殺られたんだ!

くっそー、昨日の奴らだな。

卑怯な真似しやがって。

敵は必ずとってやるからな。

成仏しろや。」


玉子は手を合わせ冥福を祈っていた。

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