第33話 ナマハゲまこちゃん

さてさて、校長室に三人はいた。


お京はマサイ族が獲物を狩るような視線をお玉に送った。


(あれ?お京、痛いんだけど、こっち見るんじゃねぇーー!いったい何だよ!)

玉子は自分のせいでこんな事になってしまってるのを自覚してなかった。


「あなた、さあ、説明をお願いしますわ。

どうして、玉子さんがあの世に飛んで行ったなんて行ったんです?」


「ああ、気が動転してたんだね。

どこから話せばいいのか、、。

まず、登校してきたところか、、。」

ガリ勉校長はこれまでの話を、全く理解し難い話を必死に説明した。


「つまり、玉子さんはイジメに会ってる生徒さんを助けたのだけど、暴力を振るったと。

その後、教室で死んだ振りをしたせいで

誤解した生徒さんが大騒ぎになってしまった。

それを先生方は殺人事件だと思って、

柔道部の権田川先生が乗り込んだと。

玉子さんは死んだ振りがバレたと思って

権田川先生を締め殺そうとした。

ざっとこんな感じですの?」

(てめぇ!お玉!初日だぞ!

どんだけ、人をやっちまおうとしてんだ?

しかも死んだ振りってどこまでガキなんだ。

こっちとら、亭主のいない時間で

民謡カラオケ喫茶に行こうと思ってたのによぅ。

クソがぁーーっ‼️)


「あのさ、今の話よ。おかしくねぇかな?」


「まあ、玉子さん、このごに及んで言い訳ですの?往生際が悪いですわ。」

(おうおう?言い分があるなら、できるもんなら

やれるもんならやってみろやーっ‼️)


「あたいは、教室がわかんなくて、迷子の子猫ちゃんになったんだよ。

ほんで、ガリ勉を待ってたらよ、カツアゲしてんじゃん。だからよ、辞めなさいよって

ちょいとお仕置きしただけじゃん。

そんでさ、助けた女の子に教室連れてってもらってさ、居眠りしてたら、熊がいただきますをしてるからさ。このままじゃ熊の腹ん中入ってうんこになっちまうぞって。

やばいじゃんか。

んで、締めたんだよぅー。

そんだけじゃん。なんも、悪くないじゃん。」


「まあ!玉子さん!

昔から、少し足りないのかしら〜と感じてましたけど、認知症も始まったみたいですわね。

おーほほほ。」

(ああ、お玉、お前の脳みそは八丁味噌で出来てるんのか?赤だし作ってやろうか?

おい!)


「そうだったんですね。

玉子さん、みんなから誤解されて、、。

可哀想な事をしてしまった。

私でみなさんに説明しておきますから。

今日はもう、京子と帰るといいでしょう。

疲れたでしょうし。

京子、頼めるかな?」


「わかりましたわ。あなたもお疲れのようですわ。げっそりと痩せたようですわ。」

(まだ、死んじまうじゃねぇぞ!

65歳までは校長やって稼いでもらわねぇと

民謡カラオケ喫茶にも通えやしねぇ。今月は

ナマハゲまこちゃんが来てくれるんだからよ。

CD10枚買うとほっぺにチュしてくれんだからよ。)


「玉子さん、帰りましょう。

ゆっくりと私の車でお話ししながらね、、。」


(こっこえええ。ひとりで帰った方がよくねぇかな?お京の車かよ、、。

サツパトに捕まんじゃねぇかな。

いやな汗がでやがるぜ。)


お京は車のドアがぶっ飛ぶくらいに

閉めると、シートベルトを付けた。


さあ、サーキット族といこうじゃねぇかーっと

ギュューワンとアクセルをふかした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る