第32話 病院の予約がさ、、。
薬を飲んだあと、ガリ勉校長は校庭に向かった。
(なんて気が重いんだ。
教師生活で、ただただ、真面目にやってきたのに、、。)
「あっ、あれ!
お京、やべえぞ!お前のマブがこっちに来やがったぞーー。」
「あんだってぇぇーーっ!
こりぁ、まずい。おい、おみよ、法螺貝を持て。」
(くそっ、まさか、気付きやがったんじゃああるまいな。)
お京は自分からガリ勉校長へと走り寄った。
「あなた、ごめんなさいね。
みよこさんに連絡したら、昔のご学友の皆さんが集まってしまわれて、、。
私に法螺貝なんぞを吹けと仰って、
困ってしまって、、。
でもほら、皆さん、なんでしょう、、。
怖い感じでしょう?お断り出来なくて。」
「なんだ、そうだったのかい。
ほっとしたよ。まさか、京子まで影響されちゃったんじゃないかと心配したよ。」
「まあ?嫌ですわ。
私、ああ言う方のやられる事がわかりませんわ。ほんとになんなんでしょうねぇ。」
(ふーっ、やれやれ、ボンクラ亭主で助かったぜ!しかしよ、これからどーすんだよ。
あのチンピラ上がりをよ!
こいつじゃ止められねぇな。
上手い事を言って、この騒ぎを納めなきゃなんねぇ。)
「ねぇ、玉子さんのご遺体はどこに安置されてますの?
それさえ、分かれば、皆さんに私から説明させていただき、すみやかにお引き取り頂きますわ。」
「ええ!
玉子さん、死んでないよ。
生きてるから、ほら、あの窓から身を乗りだして落っこちそうになってるの玉子さんだよ。
なんでそんな話になったんだい?」
「あら、ホント‼️
玉子さんだわ。
一体全体どうなってますの?
とにかく、詳しいお話しをあなたの部屋で伺いたいわ。」
(なんだ、ごおら!お玉!
てめぇ、生きてんじゃねえか。
しかし、こいつの電話じゃ死んだったよな。
なっ、お前言ったよな。
どうすんだよ、この始末。
お前の指の一本や二本じゃすまねぇんだよう。)
「あなたは先に校長室へお戻り下さいまし。
あとの事は私にお任せ下さいね。
ささ、早く。」
「悪いね、京子、じゃあお願いするとするか。」
ガリ勉校長は校舎へ戻った。
「てめえらーー!
やっかましいわ!静かにしろ!!
お玉は生きてんだよ。あの窓から
バカみたいに手を振ってんだろがー!」
「なんだってー、お玉?
殺られたんじゃねぇのか?」
「総長ーー!
お久しぶりでござんすーー!
あたい達、駆けつけたんですぜーー!」
「やっかましいーーー!
とにかく、お玉は無事なのはわかったな。
おめらは帰れ!とっとと帰りやがれーい!」
「ざけんなよ、お京、お前が死んだつったんだろがぁー。
この始末、どうつけんだよ!」
「なんだって、あたいにイチャモンつけようってか?ふーん、随分とあたいも舐められもんだ。
文句のある奴は出てこいやー!」
お京はコインを手のひらで鳴らした。
(おい、まずいぞ。
昔、あいつにやられて、今は、オカマになった奴が何人もいるんだせ。)
(おいおい、この歳で玉無しは勘弁だせ。
女房にど叱られるのは困る、、。)
「お京さん、すいませんねぇ。つい、調子に乗っちまいやした。
あとは、お京さんにお任せします。
では、俺らは引き上げさせていただきます。」
「うっうん、それがいいよね。
お京さん、玉姐さんの事はお頼み申します。」
(今更、コインで目ん玉やられたらたまんねー。
この前、白内障の手術したばっかじゃん。)
「わかってくれればいいんだ。
おみよ、あんたは残ってくれ。
一緒に話を聞いてもらいたいからな。」
「あたい?
いーんだけどさ、これから歯医者の予約入ってんだよね。歯槽膿漏とかって言われちまってさ。歯のお掃除なんだよね。」
「あー、わかる。
あたいもこれから膝に電気当てに行くんだよ。」
「俺もよ、しょんべんが出にくくてよ
前立腺とかで泌尿器科に行くんだったわ。」
お京は
どいつもこいつもじじいとばばあじゃんか。
棺桶背負ってんじゃねぇーぞーー‼️
と怒鳴りたいのを我慢した。
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