第23話 メロンじゃなくてみかんだからね
保健室のベットにガリ勉校長は寝かされていた。
「あっ、お京!気がつきやがったぞ!」
「あなたーー!
大丈夫ーー!私がわかりますか?」
(てめえ、これしきの事で倒れてんじゃねえ!)
「うー。
ああ、京子かい、、。
入学式は、、。」
「心配いりませんわ。
無事に終わりました。
保護者の方も生徒さんもあなたの祝辞に
感動されてましたよ。お疲れ様でした。」
(たくっ、金八で出て来やがった時には
コインで眠らせようと思ったぜ。
やれやれだ。)
「ガリ勉、お前、ありがとうよぅ。
あたいは泣けちまったよ。
そうさ、あたい達は腐ったメロンなんだよな。」
(いや、違うだろーー!
おみよ、腐ったみかんだからーー!)
お京はおみよの脳みそは腐ってるからしょうがないと思った。
「ガリ勉、あたい、頑張るよ。
あたいの全身全霊をかけて三年間を走り抜く覚悟だよ!」
玉子は真面目に言った。
「よかった、玉子さん、これから楽しいばかりじゃないと思います。
でも、今度こそは卒業まで一緒にやりましょう。
京子もみよこさんも、、、。」
言いかけてガリ勉校長は、もう一人の人物に気がついた。
(誰なんだ!この殺し屋みたいな人は、、。)
「あのう、、。そちらの方は?」
「あっ、俺?
お玉達のダチで、今は居酒屋のオヤジです。」
「ガリ勉知らなかったか?
狂犬のタツオだよー。
お京の憧れの人だったんだぜーー。」
「知ってます。覚えてます。
通学電車の中でお年寄りや体の悪い人がいるのに不良学生が座ってると、足を蹴って席を譲らせてましたね。
そうでしたか。懐かしい。
ううん?京子の憧れの人???」
「やーですわ。恥ずかしい。
ほら、私みたいな真面目で大人しい女学生は
自分とは住んでる世界が違う人に
憧れたりしただけですわ。おーほほ。」
(おみよ!ばっきゃろーー!
てめえ、天ぷら油でも飲んできやがったか!
ペラペラ余計な事喋るんじゃねぇー!)
お京はガリ勉校長からは見えないように
そっと着物の胸元からコインを出して
みよことタツオに見せつけて
(おい、痛い目にあいたくなきゃ、これ以上
余計なお喋りはやめるんだ、わかったな!)
と般若の顔で睨みつけた。
みよことタツオ
(やばい、本気だ。ペースメーカに
あのコインが当たったら一発でお陀仏だ。
おみよ、黙れ!)
(わーってるよう。口にチャックしときますよー!狂犬のタツオちゃーん!)
「京子、みよこさん、タツオさん。
玉子さんを助けてあげてくださいね。
私もできる事はやろうと思います。」
「まあ、あなた、大丈夫ですよ。
私達がついてますもの。
ちゃんと三年間で卒業していただきますから。
ねっ、皆さん。」
(何をやらかしやがるかわかんねぇお玉を飼い慣らすには、あたい達以外にある訳ないんだよ!
お前は、お玉のしでかした事をもみ消しゃいいんだ!)
「みんな、ありがとうよ。」
お玉は深々と頭を下げた。
「あのう、ところで、校長先生、なんで
そんな格好してるんです?
その髪型は、お世辞にも似合ってませんぜ。
およしになったら。
良い床屋を紹介させてください。」
あー、タツオ。
違うんだ、お前、金八先生なんだよと
お京、おみよ、お玉は思ったけど、
気がつかない振りをした。
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