第21話 入学式はお通夜?
騒ぎもおさまり、入学式は始まった。
お京達は保護者席の真ん前に陣取った。
何故か?その周辺の席は誰も座らない。
「おい!お玉達が入ってきたぞ!
この時の為に、うつるんです買ってきたぞ!」
「タツオ、うつるんです?何処でパクってきたんだ?」
「馬鹿野郎。足を洗ってからこちとら
真面目にやってんだぞ!ちゃんと買ってきたんだよぅ。」
お京はおみよとタツオのやり取りを聞いて思った。
(そこじゃねぇだろ?突っ込みどころは、。
スマホがあんだろ。何で、今更うつるんですなんだ?こいつらの頭ん中はいつの時代で止まってるんだよぅー。)
お玉は緊張し過ぎて、血走った目で一点を睨みつけていた。
そのおっそろしい姿に他の保護者は
ドン引き。
「あの子、怖いわ。それになんか変じゃない?
どうみても私より年上にしか見えないんだけど
パパ、どう思う?」
「うん、そうだね。
だいたい、保護者の人達もヤクザさんじゃないのか?
頼むからうち娘と同じクラスじゃありませんやうに。」
どの保護者もみんな想いは同じだった。
本当なら晴れがましい入学式なのに
お通夜のようだった。
それは教師達も同じだった。
「教頭先生、今年の入学式は毎年と雰囲気が全然違いますね。
何だか、保護者の方々が沈痛な面持ちなんですけど、、。」
「うむ。こんな暗い入学式は教師生活で初めてだ。やはり、、。
あそこの保護者席の人達のせいなんだろうねぇ。
あの人達は何者なんだろか?
困っちゃうなぁ、、。
せめて、校長の祝辞で場が和むのを祈るだけだよ。」
ガリ勉校長だって、暗幕の横からこっそり
体育館の様子を見て、冷や汗で背中はびしょびしょになるくらい困っていた。
「京子、、。
いったい、君はどうしてしまったんだ。
いけない、いけない。
それより、なんとか空気を変えなければ。
せっかくの入学式がめちゃめちゃだ。
しかし、どうすればいいんだー!
とにかく、笑いだ!そうだ!
それしかない!」
ガリ勉校長は追い詰められていた。
そして、とんでもない格好で壇上に登場した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます