第20話 ジャイナジョイナー

三人の逃げ足は速かった。

全盛期のジャイナーと互角に勝負できるかと思えた。


「おい!俺らなんで逃げてんだよ!」

タツオの一言で三人の足は止まった。

お京は着物の裾を捲り上げたから着物ははだけてしまった。タツオはシルクの白のマフラーが

頭に巻き付いてインド人みたいになっている。

おみよはアフロパーマのカツラが飛んでいって

カツラの下にかぶる編み編みネットだけになっていた。


そこへ息を切らせたお巡りさんが到着した。

「あのう、奥さん、旦那さん、あとの、、。

おばあさん??ちょっとお話し聞かせてもらっていいですか?」


「宜しくてよ。なんざんしょ?

わたくし、この学校の校長の妻でございます、

その私に警察の方が何をお聞きになりたいのでしょう?」

(てめら、サツごときがあたい達に因縁つけるってか!!受けてたとうじゃねえか!)


「いやー、通報がありましてね。

女生徒を取り囲んでいる危ない人達がいると

警察としても通報があった以上、お話を伺わせていただくしかないんですよ。

ところで、皆さんはここで何をされていたんですか?」


「まーあ?そんな通報が?嫌ですわ。

誰かしら?誰ですの?教えてくださらない?

お巡りさん!」

(どこのどいつだ!サツにチクリやがったのは!

ヤキいれんぞ!)


「いや、匿名ですので。教えられません。

それより、何をされに来たんですか?」


「んまあ〜、この格好をみてわかりませんこと?

もちろん、友達がこの高校に入学するので

その付き添いですわ。」


「えっ?はぁ、、。

いや、付き添いの方にしては少し過激と言うか

誤解されやすい格好ですね。」


「まあ、どんな服装をしようと個人の自由ですわ。人権侵害されますの?」


「いや、いや。失礼しました。

よーく、わかりました。誤解の通報と。

最後にひとつだけ、いいですか?

そちらの男性の方、さっきからずっと

背広の左の内ポケットに手を入れてらっしゃいますが、何か大切な物でも?」


「ああ、これですかい?

ひさびさに走ったもんだから、ペースメーカーがぶっ壊れたんじゃねぇかと触ってたんでさ。」

タツオはペースメーカーの入れてあるところを

お巡りさんに触らせた。


rあ、、。なるほど、、。

ペースメーカー、、。大変ですね、、。

入学の日に失礼しました。

良い入学式を。では。」

お巡りさんは去っていった。


「だめだなぁ。サツの姿を見るとよ、

なんだろなぁ。逃げたくなるんだなぁ。」


「仕方ねぇさ。椎名林檎も歌ってるだろ。

本能なのさ。なあ、おみよ。」


「あのさ、あたい、気になってんだけど。

奥さんってお京だよな。

旦那さんってタツオだろ?

おばあさんって、誰の事だと思う?」


お京とタツオは目で合図をした。

聞こえない振りをするぞ!

いいな!

と、、。

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