第17話 仮装行列

お京は紋付きの和装姿で家にいた。

「ほほう、良く似合うねぇ。

惚れ直すよ、京子ーー。

でも、その髪型はどこかでみたような、、。」


「やだわー。貴方ったら〜〜。

そ、ん、な、に、綺麗かしら〜?」

(やべえ、やべえ、ついつい髪型は日牡丹のお龍さんにしちゃったんだよぅ。)


「じゃあ、私は先に学校に行くから。

京子は玉子さんやみよこさんと一緒だよね。

保護者として宜しく頼むね。」


「ええ、保護者として玉子さんを見守りますから安心して下さいね。」

(保護者だってぇー!それどころじゃねえわ。

お玉の野郎が何かしでかしやしねぇか、

歯止め役だよー。)


お京は隠し戸棚から昔使っていたコインを胸元に忍ばせた。

(お玉の野郎がゴロまきしそうになったら

こいつでやらなきゃなんねぇ、、。)


ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン‼️

けたたましいピンポーンの連続。


「やっかましいわ!おのれら、一回押せばわかるつうの!」


「おっ!お京!

お龍さんじゃねぇかぁー。

かっこいいぜ。似合うじゃねぇか?

なぁお玉。」


「うっうん、、。」


「どーした?お玉、隠れてないで入ってこいよ。」


「お京、あのな、ぜってぇに笑うんじゃねえぞ。お玉の心はよ、バリケードなんだからな。」


玉子は姿を現した。

ショートボブに太い眉毛。

セーラー服のオレンジ色のスカーフを巻いて

膝丈のスカート。白の靴下と黒のローファー。adidasのリュックを背負っていた。


「ぷぷぷ、、。

いや、ぷぷ、すごい似合ってるぞ。お玉。」

(こんな面白いもん見せてもらえると思ってなかったぞ!!ババアのセーラー服ってすげえな。

こりぁ、お笑い芸人泣かせだせ。

あーははははーー!)


「そっそうかぁ。えへへ。

お京にそう言ってもらえるとよ、ほっとするもんだ。娘家族からは大笑いされちまってよ。

あたいのハートはブロークンだったんだ。」


「気にすんじゃねえ。お玉。

お玉にケチつけやがる奴がいたら

このコインで黙らせてやるからな。

おめえはぜってえに手出しすんじゃねぇぞ!

辛抱だ。なっ。」

(こりあ、天下一の笑いもんだせ。

これ見て、笑わない奴なんかいるわけねぇわ。

しかし、ヤバいぞ。それでお玉がいきりだしたら即退学だ。なんとしてもそれだけは避けなきゃなんねぇ、、。)


「ところでおみよ、お前、、。」


「あー、あたい?どうだい?

やっぱさ、あたい達の正装はこれだもんな。」


(おみよ、なんで、お玉から貰った制服きてんだよ。おまえ、、、。

あー、チンドン屋かよ。)


みよこはお玉から貰った、ヤンキー丸出しのセーラー服を着ていた。

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