第15話 制服
玉子は無事、点数ギリギリで合格した。
その報告がてら見舞いに来ていた。
「おう?具合はどうだい?
お京、あんたのおかげでさ、見ておくれよー。」
玉子は合格通知をぴらぴらした。
「やったじゃねぇか!
お京さまさまだな、お玉。」
点滴に繋がれたみよこがバンザイをしてくれる。
「よかったよぅ、お玉。
あたいも命を張ったかいってもんがあるよ。」
柄にもなくお京は涙ぐんでいる。
(いや、お京、命がけってか?
それ稲荷寿司の呪いだろうが、、。お京はこれが稲荷寿司の呪いだとわかってないのか?
いや、脳みそまでやられてんじゃねえか。)
お玉はみよこの稲荷寿司はやばいヤクより
ヤバいとしみじみ思った。
「ところでよ、お玉、お前のマブは何て言ってんだ?お玉のマブのこった、どこかの筋もんだろ?それとも今はおつとめ中かい?」
「お京、お玉のマブの話しはさ、、。」
みよこは慌てて話を打ち切ろうとした。
「いーいんだよ。おみよ。
お京、あたいのマブはあの世だよ。」
「えっ!そうか、、。筋もんにはどうしたって仁義を通さなきゃなんない時があるからねぇ、、。」
「いや、お京、違うからな。お玉のマブは
銀行のサラリーマンだぞ。
病気で死んじまったんだって!」
みよこが叫ぶ。
「なっなんだってぇーーぇー。
天下のカミソリのお玉が金貸し野郎と一緒になったのかい!
この世もお終いだねぇ。情け無いよ、あたしゃ」
(いやいや、手前だって学校のセン公野郎と一緒になってんじゃねぇか。
こいつ、やっぱり、脳みそ腐ってきてんな。)
「うーん、高校中退してからよ。テキ屋の鬼鉄のオッサンに世話になってんだよ。
そん時にさ、アベックがチンピラに絡まされててよ。
そこでさ、あたいは焼きそばのコテをカミソリ代わりにしてやっちまったのさ。」
「そう、そう。そのあとな、男の方がお玉があちこちの祭りで屋台を出すたんびに焼きそば買いにきやがったんだよな。」
「へぇー、でもよ、話じゃアベックだったんだろ?」
「スケの方はさ、あまりの弱さに男を振ったんだよぅ。な、お玉。」
「お玉、おめえ、良く、そんな玉無し野郎と一緒になったなぁ。」
「うん、、。
なんかよ、ずっと来やがるじゃんかよ。
そのうち気になっちまったんだよな。
それに、真面目しか取り柄がねえからよ。
屋台の店番させといても金はパクらないし。
あたいは、タバコふかして寝れるしな。」
「ふーん。マブはいつあの世に行ったんだい?」
「一昨年な。定年退職したらポックリ。」
「そっかー、お玉、青春やんな!
あたい達はいつでもあんたについててやっからよ。」
「お京!お前っていい奴だったんだなぁ。
野郎の金潰しばっかやってて、とんでもねぇ奴だと思ってけど、なぁ、お玉!」
「お京、おみよ、あたしゃ良いダチをもったよ。ありがとうよ。
ところでよ、制服なんだけどよ、もう買っちまったんだ!」
「もう、買ったのか?
おいおい、着たところをあたい達に見せたいじゃねえのか?あー?」
みよこは揶揄う。
「いや、まあ、そんなところだ。」
「着てみろよー。なぁ、楽しみじゃねぇか?」
「そうか。じゃあよ、着替えてくるからよ。」
玉子はトイレに着替えに出でいった。
「なぁ、ババアのセイラーってどんなんだろな?」
「おみよ、笑うんじゃねぇぞ。ここは堪えてやるのがダチだかんな。ババアのミニスカなんてよーぅ。くくくぅー。」
「入るぞー!!どうだーー!!」
「お玉、、、、。」
「やっぱりそれか、、。」
ふたりは性というものは、年数をいくら
重ねても変わらないと思った。
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