第13話 お稲荷さん

お昼休憩になった。

お京は校舎の裏で待つ玉子とみよこに会いに来ていた。


「おう、おつとめご苦労様です!」

玉子はスクワット姿勢で膝に手を置いて

頭を下げる。


「ふー、あぶかなったぜ。うちの亭主が来やがったんだよぅ。さすがのあたいも冷や汗もんだったさ。」


「あんだってぇーーー!そいで、バレたんじゃねぇだろうな?」


「お玉、あたいをみくびんじゃねえ。

どんな修羅場だってくぐり抜けてきたんだ。」


「そうだな、こらあ、申し訳ねぇ事言っちまった。」


「とにかくよ、弁当食おうぜ。

あたいが一昨日の晩から仕込んでたお稲荷と

ウィンナーとか卵焼きだよ。」


「おみよ、気がきくじゃねぇか。

あたい、腹ペコだよ。お玉、ありがたく頂戴しようじゃないか。」


「そうさ、お玉、午後からの面接はお玉がやらなきゃなんねぇんだぞ!

ゴロまきの前には腹ごしらえだ!」


「そうだな。ありがとよ、おみよ。」

(うーん、なんだか?昔、こんな事あったような。あっ、あれだよ。おみよんちのババアがお稲荷を大量に作ったからって族のみんなで食ったんだった。

そんで、いざ、ゴロまきに行こうとしたら

腹が痛くて転げ回るわ、吐く奴いるわで

別の修羅場になったんだった。

この稲荷、、、。)


「どした?うめえぞ、お玉、くわねぇのか?」

お京はバクバク食っている。


「いや、あの、柄にもなくさ、あたいもビビってんだよ。とても食えねえなぁ。

おみよ、すまねぇ。気持ちだけ有難くもらったからよ。許してやってくれ。」


「いいさ、いいさ。

お玉は喧嘩は得意だけど、先公相手にすんのは

ダメだもんなぁ。

でもよ、お京と面接の練習もあんだけやったんだし、楽勝だろー!」


「お玉、ここからは、普通に喋んな。

もう、気持ち切り替えねぇとな。」

お京は稲荷をもぐもぐしながら言った。


「わかりましたわ。京子さん。

私、頑張って参る所存でございます。

おほほ。

どーでぇ?」


「よし!お玉、とにかくだ。地を出すんじゃねえぞ。」


(お京、お前、そんなに腹が減ってたのか、、。

しかし、その呪いの稲荷寿司、、。)

玉子は自分のことより、稲荷寿司を食ってる二人に災難が起こるような野生の勘がした。

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