第5話 はやぶさのお京

ビビリまくってるふたりのところに

びろーーんと蜘蛛が垂れ下がってきた。


「んぎゃあーーー!」


その瞬間、ガリ勉の奥さんは目にも止まらぬ勢いで蜘蛛をカッとつかんだ!


「あーらー。やだん。すいません。

うちは木がありますでしょう?

蜘蛛が巣を作っちゃうんですぅ〜。

大丈夫?」


「ひぇーーーー!

いっいやー、なんでもあーりませんぞよでございます。」


ふたりは庭を抜けて玄関から応接室へ通された。

奥さんはガリ勉を呼んでくると行って出て行った。


「お玉、どーした?何考えてんだ?」


「おみよ、お前、気が付かなかったか?

あの奥さんが蜘蛛を殺やった時のさ。

あれ、どこかで見た気がするんだな。」


「お玉もかい?

実は私もさ。あの早い手捌き、、。

あーー!思い出したよ。

隣の中学にさ、はやぶさのお京ってのがいたじゃないか?

いつもコインを持っててさ、目にも止まらぬ速さで投げつけるってえの。」


「あー!そうだ!

あいつ、お京だよ。

すました顔しやがってよ!くっそー!」


そこへドアをトントンと叩いてから

ガリ勉が入ってきた。


「あー!カミソリのお玉さんとチェーンのおみよさんじゃないですか!

懐かしいですねぇ。

中学の時はおふたりには随分と世話になりましたね。」


「ガリ勉、お前、喋るようになったんだな。

中坊の時はお前全然喋んなかったのによ。」


「あははは。あれから何年経ったと思ってるんですか?

これでも今は校長なんぞをしてるんですよ。

話ができなきゃーねー。」


「おめえ、長ったらしい朝礼の話とかしてやがんだろ。あれ、迷惑なんだよな、お玉?」


「ああ、くそだりい、話ばっかしやがってよ。

くその役にも立たないんだよな。」


「相変わらずですね。

ところで今日はどうしたんです?」


「実はさガリ勉に頼みがあんだよ。

お玉がさ、もう一度高校に行きたいってんだよ。お前、校長だろ?

ほら、コネで入れるくらいお茶の子さいさいだろ?」


「ええっ!

お玉さんが!

勉強したいって気持ちは尊いですよ。

しかし、夜間高校とかではどうですか?」


「やだね!

あたしゃ、お天道様の中、堂々と高校へ行きたいだよ!」


「いやー、そんな事を言われても、、。」


そこへ奥さんが紅茶とお菓子を持って入って来た。


お玉とおみよは、奥さんつまりお京と

目があった。

そして、三人はガンを切り合った。

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