第4話 お化け屋敷

インターフォンから

「はーい。どちら様でしょうか?」


「なっなんだよ、インターフォン⁉️

そりぁそうだよな。こんなデカぇ屋敷でさ

玄関先から声が聞こえてくるわけねぇもんな。


「あのうー、実は森くんの中学時代のマブダチ、いや、その、あの、友達ですのー。

おーほほほ。」

みよこは必死に答えた。


玉子と言えば、電柱の物陰からじっーと様子を伺っているだけ。


「えっ?主人の中学のお友達ですか?

まあ、失礼しました。

今、そちらへ行きますね〜。」


「おい!!お玉、テメェ早く来い!

女房がきちまうだろよ!」

カミソリのおみよの怒鳴り声が鳴り響く。


「デカい声だすんじゃねえよ!ここは街中なんだぞー!」

玉子はガニ股歩きで余裕をみせながらやってきた。


「お待たせしました〜。

主人とは中学のお知り合いですの?

主人の友達が尋ねて来るなんて初めてだわー。

喜びますわ。」


「ええ、南中ですざますのよ。

申し送れちまいましたでごさいますわ。

わたくし、鈴木みちよと申し上げてたてまつりあげます。

こっちに控えてますのが、庭野玉子というチンケな者なんでございまするですの。

おーほほほほ。」


「鈴木さんと庭野さんと仰っるのね〜。

ささ、どうぞ、中へお入り下さい。」


みよと玉子は、敷石なんぞが敷き詰めて、石灯篭がある庭を歩いていた。


「おい、おみよ、ここんちお化け屋敷みてえだな、こんな気色わりいもん置きやがってよ。

井戸とかもあったりしてよー。ガバハ。」


「お玉、あれ、あれ見ろよ。

井戸だよ、お前ーー。」


思わずふたりは柄にもなく身震いをした。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る