第106話 塩むすびが梅干し入りになったようです
たゆね様の視線を受けて、アイちゃんは恥じらいもなくブラウスを
「っ……!」
露となったその姿に俺と
早い話が、ツルツルだった彼女のおっぱいに乳首が付いているのだ。
ぶるんと豊かなお胸に、桜色のポッチが一つずつ。色素の薄い小さな突起はまさに理想的な乳頭と言って差し支えないだろう。俺などあまりの美しさに思わず目が釘付けとなった。
『
驚愕と官能美に見惚れる俺に、アイちゃんは真顔のまま尋ねた。
「如何って、なにが?」
『朝日向店長は女性の乳房にいたく興味をお持ちのようですので、検査に付随し乳頭を装備して頂いたのです。お気に召したでしょうか』
「あ、うん。すごく綺麗で良いと思います」
『ありがとうございます。因みにこちらの乳頭からは摂取した飲料を
「なんやてっ!?」
ということはつまり、アイちゃんがミルクを飲めば疑似母乳が出るということか!? なんと夢のような話……要するに泉希では到底不可能なあんなプレイやこんなプレイもOKということか。
などとアイちゃんとのエロを妄想していれば、突然に視界が遮られた。泉希が俺にアイアンクローをかましてきたのだ。
「一体なにを想像しているのかしら、このお馬鹿店長さん?」
にこりと微笑みながらも、その右手には万力の如くギリギリと力が込められる。
「す……すんません、っした……」
絞り出すような声で謝れば、泉希は勢いよく俺の顔から手を離して「フンッ」と強く鼻を鳴らした。
「ていうか、これが改善点なんですか?」
「そうだよ。もしかして迷惑だった?」
「いえそれまったく! ありがとうございます!」
腰を90度に折る最敬礼のお辞儀をしてみせれば、たゆねさんはまた楽しそうにクスクスと笑った。
アイちゃんはブラウスを閉じて、乳首付きのお胸を仕舞った。本当はもう少し堪能していたかったが、下手なことを言うと泉希のアイアンクローがまた飛んでくるかもしれんからな。
「それじゃあ、私はこれで」
「もう帰るんですか。折角ですしもう少しゆっくりしていって下さいよ。良ければ、このあと皆で食事でも」
「ありがとう。だけどすまない、これから人と会う約束があってね」
「そうですか」
「うん。気持ちだけ貰っておくよ」
人好きのする笑顔でそう言うと、たゆねさんは軽く手を振り店を後にした。その後ろ姿を、俺達は深く頭を下げて見送った。
『時に
「身請けって、遊女や
恭しく頭を下げるアイちゃんに、俺は「ははは」と笑って応える。
『しかし店長に多額の負債を担って頂いたことに変わりはありません。本当に申し訳ございません』
「いいよイイよ。アイちゃんが無事だったんだから。それによく考えたら、それほど大した額でも無いかもだし」
『そうなのですか?』
「うん。アイちゃんの派遣料は1時間2000円だったでしょ。てことは1日8時間で月25日働いてもらったとして月当たり200時間。月換算だと40万円くらいのコストだ。交通費も含めたら年間で500万円くらいになる。てことは4年もあれば返せる計算になるからさ」
『確かに仰る通りですが』
「だから気にしないでよ。幸い利子も無いんだし」
言いながら俺はアイちゃんの頭を撫でた。嫌がる素振りもなく頭を預けてくれるアイちゃんの髪は、シルクのように滑らかで心地よかった。
『私も御社の運営に、微力ながらお手伝いさせて頂きます』
「ありがとう。頼りにしてるよ。ただ、ひとつだけ間違いがあるけどね」
『間違い、ですか?』
「うん。アイちゃんはもう正式にウチの一員に――家族になったんだから、これからは『
隣の泉希に目配せして「なあ」と同意を求めれば、肩を
「そういう訳で、改めてよろしくね。アイちゃん」
『……はいっ。宜しくお願い致しますっ』
俺が差し出した右手に、アイちゃんはすぐさま両手で包み込むよう応えた。ウチに来たばかりの頃は握手なんて無意味だと言っていたのに。
これも彼女の成長なのか。そう考えると、なんだか胸のあたりがこそばゆくて…‥俺は微笑まずには居られなかった。
-------【TIPS:泉希の服薬指導メモ】-------
AIVISを構成する人工頭脳やエネルギー機関は全て特殊な菌を素体として造られているらしいの。だからロボットよりも有機物に近いらしいわ!
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