[20時32分 中庭]
うわぁ、鼻血が出そう、と仕掛けた鏡を通して室内を盗み見ていた
あの薄っぺらい感じの若い男と、あの図体だけがでかい男はさておき、先程お知り合いになることができた
さて、どうするか、と考える。自分の目的である「夜の
低い以上、次の探索に移るべきなのだろうが、なんといっても素敵なおじさま二人がそこに向かうのである。これはもしやアレな事態が発生して、ソレして、ナニしてしまうのではないか、という煩悩が充填された妄想が冷静な思考の邪魔をする。
数秒迷った後、彼女は特製スーツの力でヤモリのように壁を上った。二階の窓から校舎内に入る。
よし、不要な行動ではあるが、とりあえず上に行こう。もやもやするものを抱えたままでは仕事に集中できない。できないのならば、それを片付けるのが先決だ。ダイエット中にイライラが募った時だって、ケーキを食べるとすっきりするし。
ついでにセクシーモードでおじさまたちを誘惑しちゃおうかな、とつぶやき、口の中で小さく
さすがに学校でこの格好をすると痴女まであと一歩、というか、半歩程そちらの世界に踏み込んだ感じになるが、それはそれでこれはこれ。
女には勝負を掛けねばならぬ時というのがあるのだ。
怪盗のつま先が床を蹴った。廊下を進み、階段を上がる。思考回路はちょっとあれだが、鍛えられた足は音もなく彼女を上の階へと運ぶ。
そして。
「失礼。邪魔です」
階段を上りきろうとした時、踊り場の角から男の子を右肩に乗せたメイドが現れた。通路をふさぐ存在を認識すると同時に、メイドが左手を伸ばす。魔法と科学の双方の力を借りた特製のスーツで能力を増強しているルナが反応できない。気付いた時にはメイドの左肩に乗せられていた。あまりの事態に抵抗するという思考すら浮かんでこない。
「え?」
三階に到着した怪盗は、わずか数秒でいまきた階段を強制的に後戻りすることとなった。
メイドと、その肩にのせられた少年と、二条家のお嬢様と、淫魔と、黒いレザースーツに身を包んだ秘密捜査員というなんとも反応に困る組み合わせと共に。
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