[19時16分 大きな公園 ―退魔士―]
「お金がないねぇ」
相棒の犬――
「当たり前だ、金というものは使えば無くなる」
「とはいえ使わないと、食い物が手に入らない。食い物がなければ飢えて死ぬ。まったくこの社会というのは
「ならば雌が不必要に
妖犬にはわからないだろうが人間には
「雌に溺れるものが良く使う
「おいおい、
「百年喰わなくても死なんな、
なんで困っている人間に正論を吐くかね、この犬は、と蔵内は天を仰いだ。東京には夜空はない。必ずどこかに光があり、それが完全な闇が成立することを阻んでいる。
そのせいで光と闇が混じり合い境界が
「まあ仕方がない。何か狩って金を稼ぎますか」
「どうする? 新宿の支局で仕事を探すか?」
「まあそうなるかな。その前に何か飯の種が見つかればいいんだがな」
男の歩みに疾風が続く。
夜の街を十五分ほど歩いた時だった。
「…………ん?」蔵内が足を止めた。都立
「いる、な」
疾風が低い声で答えた。
問題は金になるかどうかだよなぁ、とぼやきながら、蔵内は校門を軽々と飛び越えた。
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