第2章 出会いと再会 38

その頃、日和は光司とともに自宅を出ると目的地の渋谷まで光司が運転する車で向かっていた。


それから渋谷駅の近くにある予約していた有名ホテルまで着いて駐車場で車を降りてから1階のロビーまで行くと待合い席のところに光司の父の姿が見えた。


「お義父さま、ご無沙汰しております」日和


姿が見えるなり早々に挨拶を済ませる日和に気を良くした剛三は満面の笑みを浮かべて日和に駆け寄った。


「いや〜日和さん。 また会えて光栄です」剛三


「いえ…」日和


「光司が何かご迷惑をおかけしているのではないかともう毎日心配で心配で」剛三


義父の何気ない一言に日和の愛想笑いは一瞬で消え失せた。


一体どういうことなのか、今すぐ真実を確かめたかったがもし、今目の前にいる義父が本当に何も知らなかったときのことを考えた日和はこの場で光司に詰め寄るのを堪えた。


「さあ、ここで立ち話も何ですしそろそろ行きましょう」剛三


「はい…お義父さま」日和


もはや作り笑顔を見せることも難しかったがそれでもこの日を楽しみにしていた義父の手前気丈に振る舞うしかなかった。


そして、宝道家ではーーー。


「今すぐ別れなさいっ!!!!」三千恵


あれから彰人と璃子を一旦屋敷に上がらせたあとリビングに場所を移し改めて二人の関係と璃子の家柄を聞いた三千恵は思わず目の前のテーブルを思いきり叩いて立ち上がっていた。


三千恵の凄まじい迫力に戸惑いながらも狼狽える璃子に向かって三千恵は容赦なく指をさして言い放った。


「お前、その程度の家の分際で財閥の御曹司に色目を使うとはいい度胸ね、だけど私の目を誤魔化そうとしても無駄よ。 彰人と結婚してこの家を乗っ取るつもりね!!?!」三千恵


「ち、違います! わたしは…私は彰人さんとそんなつもりでお付き合いしていたわけでは」璃子


「黙りなさいっ!!!」三千恵


激昂した三千恵はそばにあった水の入ったグラスを手に取ると勢いよく璃子に水をぶっかけた。


「きゃぁっ…!!」璃子


突然向かってきた水にとっさに目をきつくつぶり小さく悲鳴をあげた。


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