第2章 出会いと再会 37
日和がバタバタとリビングでバックなど準備しているとふと思い出したように洗面台にいる光司の方へ向かって声をかけた。
「ねぇ、お義父さまは今日待ち合わせなのかしら?」日和
「ああ。 確か、タクシーで行くから現地集合で良かったはずだ」光司
鏡の前で電気シェーバーを慣れた手つきで使いながら髭剃りをしていた光司は片手間にそう答えた。
「現地集合ね。 分かったわ」日和
光司の様子には微塵も興味のない日和は聞くことだけ聞くとそのままリビングへ戻って扉を閉めた。
その後、彰人は璃子を連れて東京駅に降り立つとそこから最寄り駅まで乗り継ぎ、最寄り駅まで着いてからはタクシーに乗車して久しぶりの実家へと向かっていた。
しばらくして屋敷の門の前まで着いてタクシーを降りるとその門の扉は自動的に開いた。
門の高さからすでに伝わる謎の威圧感に璃子は圧倒されていた。
「行こう」彰人
「あ…う、うん」璃子
門を通り過ぎてからしばらく敷地内を歩いて行くと見えてきた屋敷は少しアンティークな洋館の造りをした3階建ての豪邸だった。
「ここが…」璃子
ぽつりと呟くと屋敷の玄関が開き中から黒い服装をした大人が何人もぞろぞろと出てきた。
「えっ…?」璃子
戸惑う璃子のそばで平然と歩みを進めていく彰人はすでにどこか疲れた表情をしていた。
「よく戻ってきました。 彰人ーーー」三千恵
最後に玄関から出てきたいつもの着物姿の三千恵はにっこりと微笑みながら先に玄関を出ていた一義や里実、和実の間を通り抜けて彰人の前に立った。
「お祖母様……」彰人
彰人が緊張した面持ちで三千恵を見ていると三千恵は眼光鋭く彰人の隣りに視線の先を移した。
「ところで、そこの方はどなた?」三千恵
「あっ…私は」璃子
「僕の恋人ですーー」彰人
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