第2章 出会いと再会 30

それから午後、学祭真っ只中の賑わう校内を彰人は1人で少し疲れた様子で歩いていた。


「彰人!」直哉


後ろから呼ばれて振り向くと人混みの向こうに直哉の姿を見つけるとこちらに小走りで向かってくる直哉を待った。


「よっ!」彰人


「よっじゃねーよ…お前どこいたんだよ!?」直哉


「いや、ちょっと教授に捕まってて手伝いに駆り出されてさ」彰人


そう説明する彰人だったが直哉の様子がいつもと違うことに気づいて思わず少し動揺した。


「どうしたんだよ?」彰人


「あのさ…午前中璃子ちゃんとばったり会って、お前のあの絵一緒に見たんだよ」直哉


直哉の様子がおかしい理由を知った彰人は僅かに視線を落とすと直哉は話を続けた。


「一応お前の妹だってちゃんと説明はした。 でも何か引っかかってる感じではあった」直哉


「そうか…」彰人


「なあ、俺お前の友達だから聞くけど…あの時言ってたのって冗談じゃないだろ?」直哉


直哉の言葉に彰人は視線を上げてその目を見ると直哉は真っ直ぐにこちらを見つめていた。


「妹に恋したことあるかって…あれお前のことだよな? 今もまだ想ってるのか」直哉


直哉のその質問に彰人はすぐには言葉を返せなかった。


返してしまえばその想いを認めてしまうことになりそうで…しかし、直哉にとって何も返さないその態度こそが彰人の本心だと受け止めた。


「そういうことか……」直哉


独りで視線を俯かせながら呟く直哉に彰人はその心に抱えているものを打ち明ける決意をすると直哉を連れて近くの静かなベンチへ移動した。


二人は並んで座るとしばらく無言のまま過ごしてからおもむろに彰人が語り始めた。


「俺が7歳のときに親を失くした日和を母さんが連れてきたんだ…出会った時から日和は俺の血の繋がらない妹で俺は、日和にとって血の繋がらない兄だった」彰人

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