第2章 出会いと再会 24

翌朝、光司は目が覚めると見慣れない天井が真っ先に視界に映った。


上体を起こすと向こうから物音が聞こえてきて光司は散らばった服に着替えると寝室から出て物音がする方へ向かった。


扉を開けて顔を出すとキッチンに立つエプロン姿の彼女が視線に気づいてこちらを振り返った。


「あっ、おはよう。今朝ごはん作ってるからもうちょっと待ってて」奈々


「あぁ」光司


優しい笑顔でそう言われた光司だが、どこか戸惑っているようにその返事を返していた。


彼女は小倉奈々という23歳の光司が行きつけのクラブのホステスだった。


2年前に店で知り合ってから歳が近いということもありすぐに意気投合すると、いつの間にか二人は連絡先を交換し次第に深い仲になっていった。


そして奈々は光司に想いを寄せていた……。


光司は昨夜のことを思い出し調理中の彼女の背中に話しかけた。


「昨日はごめん、突然連絡して来て」光司


「別にいいよ。 色々あったんでしょ?」奈々


「あぁ、まあな…」光司


光司は時々どうしようもなくむしゃくしゃすると知人の女性と一晩明かしていた。


奈々と出会ってからはほとんどそんな夜は奈々の部屋に行っていたが光司は奈々を特別とは思っていなかった。


そんな光司だからか、何かあるたびに奈々の元へは来るがいつも聞いても何も教えてくれないことに奈々は若干の不満を抱いていた。


「はい、ご飯出来た。 一緒に食べよ!」奈々


「うん…」光司


心にある不満もいつか恋人同士になれば、このまま彼に優しくして必要なとき慰めてあげ続ければきっと心を開いて教えてくれると奈々は信じていた。

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