第2章 出会いと再会 22
「何よ、その目は…私をバカにする気? 何とか言いなさいよ!」和実
「財閥の血筋も大したことないのね、何でも持ってるはずのあなたが何もかも失った私にこんなことするなんて、それこそ滑稽だわ」日和
そのとき、和実の中で何かが切れた音がした。
和実はそばにあった分厚い硬い本を片手に取ると突然日和の頭を殴った。
襲ってきた痛みと衝撃で床に倒れ込んでしまった日和は辛うじて意識はあったが頭に受けた衝撃に顔を歪めていて和実の方を見ていなかった。
「殺してやる…あんたなんか生きてる価値もないのよ!!!」和実
その手にはスタンドライトが握られていた。
和実は半ば衝動的に腕を大きく振り上げてスタンドライトを日和の上に掲げると部屋の向こうの扉が突然開かれた。
「和実何してるの!」里実
「お母様…!」和実
和実はスタンドライトを上に掲げたまま扉の方を振り向くと里実は血相を変えて和実の元へ駆けつけた。
そして里実は和実の前に立つと焦り切った様子で和実の頬を一発ビンタした。
日和は目の前の光景に信じられないものを見たとばかりに驚きを隠せずにいると母から叩かれた和実は意味が分からないと困惑した様子で目の前の母親を見つめた。
「今すぐそれを渡しなさい」里実
「なぜ? お母様、私が何か悪いことした?!」和実
「いいから渡しなさい! この屋敷で殺しは許しません!」里実
見たこともない里実の表情と気迫に圧倒された和実は母の行動に動揺しながらも仕方なく腕を下ろして持っていたスタンドライトを里実に渡した。
スタンドライトを取り上げた里実は日和の方へ視線を向けるとその様子からおおよその怪我の状態を察した。
「知り合いのお医者様を呼ぶからお前は部屋で大人しくしていなさい」里実
「お母様…!」和実
「和実は私と来なさい」里実
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