第2章 出会いと再会 16
あれから光司も場の雰囲気に息苦しさを感じ抜け出して男子トイレへ向かっていると途中通りがかった女子トイレから日和が丁度出てきて二人は初めて鉢合わせた。
「あっ…!」日和
「あ…」光司
驚いて振り向いた光司はこのとき初めて日和と目が合った気がした。
何となく気まずい空気が二人の間に流れる中、お互いに次の言葉を探していた。
「……ごめんなさい」日和
「えっ…?」光司
「多分、この結婚は…私のせいだから。 関係ないあなたの家族を巻き込んだこと、本当に申し訳ないと思ってます」日和
光司にとって日和の言葉は意外だった。
クールで気高い印象を出会った瞬間に感じていたが実際にこうして日和の言葉を聞くとクールさとは程遠くそのギャップに光司は少し困惑した。
「いや別に、承諾したの俺の親父だし。 あんたのせいってだけじゃないと思う」光司
僅かに伏し目がちになりながら聞いていた日和はぶっきらぼうに告げられたその言葉にほんのささやかな光司の気遣いを感じた。
微妙な空気になる二人の間を切り裂くように向こうの方から声がした。
「そこで何してるのーー?」里実
驚く二人はほとんど同時に声の方へ振り向くとそこには日和を迎えに来た里実が異様な雰囲気を放ちながら立ち尽くしていた。
「お母様…」日和
気づけばあっという間に距離を詰めてきた里実は二人の目の前に立つと光司に回答を求めるように視線を向けた。
「あ…たまたまタイミングよく遭遇してちょっと立ち話を」光司
「そう、会ったばかりなのにもう打ち解けたのね。 それより光司さん、さっき会長があなたを呼んでいたから早く行ってあげて」里実
「会長が俺を…? 分かりました。 では…」光司
光司は疑問に思いつつも一礼してからその場を急いで後にした。
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