第2章 出会いと再会 13
それから両家がそれぞれ改めて席に着くとまずは挨拶から始まった。
「はじめまして、宝道日和と申しますーー」日和
「あぁ…城見光司です」光司
「いやぁ…ほんとにお美しいですな」剛三
息子の隣りで思わず日和に見蕩れていた父・剛三はため息を漏らすようにそう呟くと反応したのは三千恵だった。
「あらまぁ、城見社長ったらご子息の婚約者相手に鼻の下伸ばされるなんて面白い方ですわ」三千恵
「えっいやっ…そういうわけじゃ…!」剛三
三千恵の返しに慌てる剛三は必死で誤魔化すがそんな父親の姿を横目に光司はため息をついた。
その後も最初に交わした挨拶を除いて当人同士の二人はほとんど話すことなくお互いの親達が先頭に立って一方的に式の日取りまで話を進めていった。
京都では、休日に家族が旅行へ出かけ一人残された璃子は数日前に彰人を電話で誘った通り二人は久しぶりにデートをしていた。
璃子の希望で宇治まで来ていた二人はゆっくり平等院の紅葉を楽しんだ後、駅の方まで戻ってくると疲れた足を休めようと宇治に来たときの二人の馴染みの店、甘味処の
少し奥の宇治川が見える窓側の席に座ってそれぞれが注文したドリンクを飲みながらくつろいでいると璃子は彰人にずっと気になっていたことを聞いた。
「ねぇ、あきくん…」璃子
「ん?」彰人
「あきくんってさ…大学卒業したらどうするの?」璃子
「えっ…?」彰人
「ほら、私は元々実家こっちだけど、あきくんは大学でこっち来るまでずっと東京でしょ? 」璃子
「だから、卒業したら向こうに戻るのかなとか…考えちゃってさ」璃子
璃子はそう言いながら自分の抹茶フロートをストローでぐるぐるとかき回していた。
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