第2章 出会いと再会 11
「何をため息なんかついてる?」剛三
「だって、どうせ政略結婚だろ? ここまで気張る必要あるのか?」光司
「バカもの! 相手はあの宝道グループのご令嬢だぞ!? ここで気張らずにいつ気張るっていうんだ!」剛三
「正直俺、令嬢とかお嬢様って興味無いんだよな」光司
「何を言ってるんだ?! そこいらの社長の娘とは違うんだぞ?」剛三
「いいか、本来うちのような中小企業とは縁のないお方がどういうわけか会長のおかげで姻戚関係を結べるんだ。 それに子どもが出来ればお前の子は財閥の血を引くことになるんだぞ? これ以上の話があるか!」剛三
あからさまに興味のなさそうな光司にそう力説するが思うようには響かなかった。
それでも息子の背中を叩き喝を入れると光司はスーツの襟を正して自宅から顔合わせが行われる本日の会場へと向かった。
会長の秘書兼執事の栗山が運転する車内では僅かながらに重苦しい雰囲気が漂っていた。
「会長、あと20分ほどで赤坂の会場に到着致します」栗山
「分かったわ。 11時に約束しているから丁度いいわね」三千恵
「日和。 くれぐれも相手方の前で粗相のないように頼むわね」里実
「はい、お母様…」日和
里実は日和に目もくれず前を向いたままそう釘を刺すと日和は僅かに頷いて返した。
それからしばらくして、日和たちが乗車している車が目的地の駐車場に停車すると栗山が先頭に立ち全員を中へ案内した。
顔合わせの会場に選ばれたのは赤坂の高級ホテルに併設されている三つ星レストランだった。
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