第2章 出会いと再会 6

「名前は城見光司。としは25歳。 お前とは5歳差で株式会社siromiの社長の次男だ」三千恵


「随分と女性のお知り合いが多い方なんですね」日和


三千恵の説明を聞きながら日和は交友関係の一覧を見ながらボソッと呟くように言った。


すると三千恵はぎこちない笑顔を浮かべて返した。


「化粧品メーカーの会社だからね、しょうがないさ」三千恵


日和の疑問をやんわりかわす三千恵だったが、内心では日和はすでにこの縁談に何か裏があることを勘づいていた。


「今週の日曜日顔合わせがあるからお前も予定を空けておくように」三千恵


「はい…」日和


それから日和は三千恵の部屋を後にして自分の部屋に戻って行った。


広い自室に1人きりになるとさっきもらった相手のプロフィールを床に投げ捨てた。


「私をここから追い出すためね…」日和


財閥の屋敷から追い出しても管理する。

三千恵の魂胆は相手会社の資本金5,000万の表記と共に日和によって見破られていた。


全てが苦痛だったーーー。

だけど、あの拾われた日に縛られてしまった日和に逆らうことなど到底出来なかった……


しかし、この時はまだ何も知らなかった。


この結婚の本当の意味も…その裏に隠された恐ろしい思惑とあの日の真実にすら、日和はまだ何も気づいてはいなかった。


あれから京都のアパートに帰った彰人は部屋の灯りを付けると台所にある小ぶりの冷蔵庫から飲みかけの緑茶のペットボトルを取り出して蓋を開けると一気に乾いた喉へ流し込んだ。


そして彰人はさっき実家からかかってきた電話の内容を思い出していた。

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